カーボンマイナス資材である活性炭(AC)を含む炭化物は、作物根や残渣から滲出するアレロケミカルの吸着、土壌の物理化学性の改善等により作物生産が向上し、ダイズ等の連作障害も回避できていることを立証してきている。さらに、土壌への炭素隔離や硝化・脱窒過程から生成されるN2Oといった温室効果ガス低減に大きく貢献できる資材であると考えられている。 そこでマメ科ダイズをモデル作物として、AC施用効果を2年間のダイズ2連作および新作のポット作成し実験を行った。 供試ダイズ系統は、異なる根粒形成能のTnVRSN4(超根粒着生)、TnVR7(根粒)系統であるタチナガハ(普通)及びTnVRNN4(少根粒着生)とし、AC施用量は0、2.4、4.8及び9.6 tha-1とした。 この結果、1年目と2年目を通じて3系統の子実収量のうち、超根粒着生のTnVRSN4だけは、AC施用によって子実収量が増加し、他の2系統では活性炭施用量を多くしていくほど収量は低下する傾向を示した。また、根粒菌の着生数および1株あたりの根粒菌の生重は、TnVRSN4で大きく変化し、AC施用量を多くするほど減少傾向を示した。逆にTnVRNN4とタチナガハでは活性炭を施用すればするほど1株当たりの根粒菌数および生重が増加傾向を示したが、この着生数増加は、子実収量に影響を及ぼさなかった。1年目と2年目の各系統におけるN2O放出量は、AC施用によってN2O排出低減効果を示したのは、特に子実収量と同様の超根粒着生のTnVRSN4であった。この系統の根粒形成はACによって大幅に減少させた。 ACはTnVRSN4の収量に影響を及ぼさなかったが、TnVRNN4の収量は減少させた。タチナガハの子実収量は変化が少なかった。ACは根のイソフラボンに影響を及ぼさなかったが、土壌中のダイゼイン及びダイジン濃度を有意に減少させた。
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