①メタン排出量削減効果試験:6月20日に,香川大学農学部附属農場の湛水した水田に,ヒノヒカリを機械移植した.除草剤を効かせるため湛水を1週間維持した後,あぜ板で2区画に分割した.一方は湛水区として収穫1週間前までできるだけ湛水状態を維持した.もう一方は点滴区として,排水し点滴チューブを設置して点滴区とした.ガスの週に1回,イネ2株に対しセットしたアクリルチャンバーから採取したガスでメタン濃度と亜酸化窒素濃度を分析し,別にセットした鉄製チャンバーにて土壌から発生する二酸化炭素濃度を分析した。湛水区ではメタンの排出量が、点滴区では亜酸化窒素、二酸化炭素の排出量が高かった。それぞれの積算排出量を二酸化炭素当量に換算し、合計した地球温暖化係数(GWPtotal)は、湛水区で98000kg/ha、点滴区で42000kg/haとなり、点滴区は湛水区の42%の排出だった。 ②玄米ヒ素含有量低減効果試験:香川大学農学部の網室内試験水田(約5.8m×2.2m)を3区画用いて,それぞれの区画で湛水栽培と点滴潅がい栽培を行った.湛水栽培は86×66×深さ34cmのタライに土壌を入れて湛水状態とした.20ppmヒ素汚染土壌を作成し,各区画の各栽培区でヒ素処理区と対照区をそれぞれ設けた.点滴潅がい処理として1日1回(1:1区),1日2回 (1:2区),2日に1回 (2:1区)を設定した.点滴潅がいで栽培した玄米および茎葉中のヒ素含有量はヒ素処理区および対照区のいずれも湛水栽培した場合のヒ素含有量より顕著に少なかった。2:1区のヒ素処理区のヒ素濃度は、昨年の結果と同様に1:1区と1:2区より高い傾向を示したことから、低頻度で1回の潅水量が多い方が部分的な土壌の還元化によってヒ素が吸収されやすくなると推察された。
|