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2018 年度 実施状況報告書

ハダカムギの硝子質粒発生に関するメカニズムの解明と硝子率評価法の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K07625
研究機関愛媛大学

研究代表者

荒木 卓哉  愛媛大学, 農学研究科, 教授 (10363326)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードハダカムギ / 硝子率 / 窒素含有率
研究実績の概要

ハダカムギの硝子率は判定機により断面積に占める硝子質程度により,粉状質粒,半硝子質粒および硝子質粒に分類される.これらの粒数により硝子率が算出される.判定機による硝子率の算出は便利ではあるものの,同じ硝子率であっても,粉状質粒,半硝子質粒および硝子質粒の構成割合が異なる可能性がある.構成割合の差異は,加工前の工程である精麦の不均一性を招く可能性がある.そこで本年度は,異なる栽培時期および窒素重点施用時期で栽培した場合の硝子率およびその均一性(構成割合)について検討した.
硝子率は供試した2品種(ハルヒメボシおよびマンネンボシ)において,ハルヒメボシで有意に低く,また,両品種ともに11月中旬に播種した標播区よりも12月中旬に播種した晩播区において有意に高くなった.子実断面積の硝子程度に基づいた硝子質程度と判定機の結果に基づいて算出した硝子率との間には有意な高い相関関係が認められた.また,子実の硝子質程度は,判定機に基づいた硝子率と比べて,低い場合はより低くおよび高い場合はより高くなり,過剰評価される傾向が認められた.さらに,硝子質程度と硝子質では品質判定基準によりいずれか一方が基準値内もしくは許容値内となり,判定が異なるものが6.8%存在したことから,判定方法が品質に影響を与えうる可能性が示唆された.また,硝子率が同程度であっても硝子質程度の分布には差異が認められたことから,硝子率の詳細な評価のためには均一性を反映した評価法を検討する必要性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

品質基準項目の一つである硝子率について,播種時期および窒素重点施用の影響について実施1年目に続いて明らかにできた.また,子実断面積の硝子程度に基づいた硝子質程度と判定機の結果に基づいて算出した硝子率との関係について詳細な解析ができた.

今後の研究の推進方策

次年度はこれまでの2年間と同様に播種時期および窒素重点施用時期を検討した試験を実施し,収量ならびに硝子質に関する解析を行う.その結果ならびに1年目と2年目の結果を加えた3年間の結果を考慮して,晩期播種における低硝子率高位安定生産に向けた穂肥施用法を検討する.また,子実で合成される硝子質発生に関与するタンパク質を同定するとともに,合成時期および合成される部位について,合成経路を解析するとともに,走査型電子顕微鏡による形態学的手法を用いてタンパク質の確認をする.さらに,子実の質のばらつきを反映した硝子率の新たな評価法を検討する.具体的には①従来の評価法により算出された値に加え半硝子質の割合を括弧で付与することや,②画像解析により得られる断面積に占める子実別の硝子質の割合を加算して,子実数で除して算出することである.子実の搗精時間および搗精の均一性を解析することでどちらの評価法が適しているかを検討する.

次年度使用額が生じた理由

今年度は,実施した圃場試験の面積が,予定した圃場を変更したために狭くなった.したがって,肥料,除草剤および殺虫剤などの圃場管理に必要な農業資材費が計画していたよりも必要としなかった. 使用しなかった額は次年度の圃場管理で必要となる農業資材として使用する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ハダカムギにおける子実着生位置に着目した物質集積特性ならびに硝子率の発生に関する品種間比較2018

    • 著者名/発表者名
      荒木卓哉,金本博貴
    • 学会等名
      日本作物学会第246回講演会
  • [学会発表] ハダカムギにおける穂の乾物蓄積へのソース器官の寄与に関する品種間比較2018

    • 著者名/発表者名
      橘卓三,苅田成美,荒木卓哉
    • 学会等名
      日本作物学会四国支部第54回講演会

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公開日: 2019-12-27  

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