研究課題/領域番号 |
17K07627
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
加藤 恒雄 近畿大学, 生物理工学部, 研究員 (70149748)
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研究分担者 |
青木 直大 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (70466811)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イネ極穂重型品種 / 登熟 / ADPグルコースピロホスホリラーゼ / ショ糖トランスポーター / 準同質遺伝子系統 / タンパク質発現量 / 遺伝子発現量 |
研究実績の概要 |
これまでに確立した、イネ穂重型品種,極穂重型品種の登熟に関連すると考えられるAPS2,APL2,SUT1座において、2種類の遺伝的背景下でそれぞれアレル1(非良登熟型)とアレル2(良登熟型)に関する準同質遺伝子系統(NILs)、合計16系統を用いて、それらの登熟関連形質を圃場で調査し、各座上アレルの効果を解析した。その結果、遺伝的背景によりやや異なるものの、APL2座上アレル2(APL2-2)をもつNILsはアレル1(APL2-1)をもつものに比べて、登熟程度が高く、出穂後10日目における発育胚乳中のAPL2タンパク質発現量が多く、出穂後15日目におけるADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGPase)活性が高いこと、一方でAPL2座の遺伝子発現量には影響を及ぼさないことが明らかになった。またSUT1座上アレル2(SUT1-2)についても、このような効果は登熟程度およびSUT1タンパク質発現量について一部認められた。したがって、特にAPL2-2は、APL2量増加を介してAGPase活性を向上させて発育胚乳のシンク活性を向上させ、登熟程度を改善していることが強く示唆された。このようなNILsを用いた検証結果から、今後のイネ極穂重型の登熟改善において、本APL2-2およびSUT1-2を活用すべきであることが提言できる。 昨年度までの実験と同様、上記3座上にすべてアレル2をもつイネ極穂重型品種密陽23号と南京11号の交雑由来の新規超極穂重型品種ツブマサリを両親とともに用い、圃場にて施肥条件を変えて収量性を調査した。その結果、ツブマサリは大きなシンクサイズを示すが登熟がやや劣り、その収量は両親を超えないことが明らかになった。また、後期追肥によってもその収量性は向上しなかった。したがって、本品種のソース能力等の改良により収量性をさらに向上させる必要がある。
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