研究課題
基盤研究(C)
イネの温度感受性雄性不稔系統の解析から新規遺伝子を同定した。この遺伝子を欠損させることにより温度感受性雄性不稔植物を作出することができ、この遺伝子の機能は植物の生育や通常の栽培温度条件での花粉形成には必須ではないが、高温条件下での花粉形成に必要であることが示された。さらに、この遺伝子が広く植物に保存されており、さまざまな作物育種に有用であると考えられることから、特許を出願した。今後は、この遺伝子の機能メカニズムの解明と他作物への技術適用を目指す。
植物分子遺伝学
温度感受性雄性不稔は作物育種に非常に有用な形質である。本研究で同定した新規遺伝子を欠損させることで温度感受性雄性不稔植物を簡便に作出することができ、栽培温度を切り替えるだけで自殖性作物を他殖性へと変換できる画期的な育種技術となる。さらに、この遺伝子の機能を明らかにすることは、高温条件が花粉形成に及ぼす影響を分子レベルで理解することにつながり、作物の高温不稔の被害低減へ向けた戦略の基礎となることが期待される。