研究実績の概要 |
リンゴ品種‘Alkmene’,‘Remo’,‘Rene’,‘千秋’,‘Starking Delicious’ ,‘千秋’由来の倍過半数体‘95P6’の小胞子培養を行った。その結果‘Alkmene’の小胞子培養のみで胚様体の形成に成功したが植物体の再生には至らなかった。これまで報告されていない‘Starking Delicious’の倍過半数体が開花し稔性を有することが判明した。 1細胞由来の再分化系を確立するために‘ふじ’の交配後30日から60日の種子から取り出した珠心細胞を用いて培養を行った。その結果、交配後30日の珠心細胞から胚様体の形成が確認されたがシュート誘導には成功しなかった。成長点に由来するカルスについては、in vitroに導入して6か月目以降のシュートから採取した成長点では再分化が困難なことが判明した。 年間を通じて小胞子培養および珠心培養を行いために、冷蔵庫で保存した苗木を人工気象機内で開花させることを試みた。葯の充実には適切な積算温度を一定の日数で実現する必要があることが判明し、品種ごとに最適温度条件の設定を行った。これによって、年間を通じて小胞子培養実験および珠心細胞培養実験が可能になった。 すでに獲得しているゲノム編集個体の細胞モザイク状態を調査した結果、多数シュートを継代し続けることでモザイク性が解除できることが判明した。このことから、必ずしも1細胞由来のゲノム編集にこだわる必要はなく、胚様体やカルスからの再分化系にゲノム編集操作を施して、モザイク性を解除する手順も有効であることが明らかになった。
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