現在、ストレス社会であり、平成27年にはストレスチェックが義務化された。その結果、多くのオフィスにおいてストレス緩和の対策がとられるようになったが、それらのチェックを行う病院関係者のストレス対策に関してはほとんど対策がとられていない。そこで本研究では、病院勤務者のストレス緩和対策の一つとして病院緑化をとりあげ、病院勤務者のストレス緩和を目的とした緑化に必要な要素や課題について調査を進めてきた。 最終年度は大きく2つのオンラインアンケートを実施した。1つは病院勤務者の緑似対する意識や職場での緑との関わり、さらには抱えているストレスの種類や解消法などについて調査をおこなった。病院勤務者といっても幅広い職種があることから、本調査では医師、看護師、作業療法士など、職種別に解析することとした。その結果、多くの医療従事者が植物の必要性を認識していること、緑化に対し「患者の安らぎ」や「景観向上」だけではなく、「職員の安らぎ」も期待していることなどがわかった。また,医療従事者のストレスとして「職場の人間関係」が最も多いことが示され、植物と関わることが職場の人間関係の評価に寄与する可能性が示唆された。これらの結果から今後の病院緑化においては,医療従事者のメンタルケアを考慮した緑化の必要であると考えられた。 先のアンケートおよび過去2年の研究結果から、病院勤務者になってから病院緑化の有用性や植物によるストレス緩和手法を学ぶには時間的に難しいことがわかった。よって、時間的に余裕のある学生時代に着目し、看護学生を対象にオンラインアンケートを実施し、看護学校の緑化状況や植物に対する意識調査をおこなった。その結果、植物に対する関心はあるものの、実習等で取り入れているケースは少ないことが分かった。よって、今後の病院緑化を進めるためには、学生時代から植物に触れ、効果を体感することが必要であると考えられた。
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