研究実績の概要 |
未利用トレニア遺伝資源であるT.hirsutissima, T.bicolor, T.siamensisの3種と既存のT. fornieri,T. concolor, T. bailloniiを相互交配し,成熟種子の獲得及びin vivoでの胚珠培養後の植物体獲得率を評価した.30交配の内,成熟種子が獲得出来たのは3交配組合せであったが,胚珠培養により14組合せで植物体が獲得された.交配正否は,両親の染色体数とは関係がなかった.また相互交配が可能な交配組合せは限られていた.以上の結果,トレニア種間交雑における胚珠培養の有効性が確認された. 温室栽培した母植物から得た葉を材料とし,葉挿し繁殖法を検討した。外植体とする葉の調整法としては葉柄なし全葉が最も効率よく,茎の中,上位から採種した葉で再生率が高くかった.シュートの再生は温度が高い条件下高くまた光強度に依存性であった.組織学的には,維管束近傍の表皮下組織に分裂組織が形成され,それがシュート原基となった.供した交配種25系統でいずれも葉挿しが適応可能であった.この方法は,苗の需要が短期間に集中する花壇苗生産に適応出来ると考えられた. トレニアの遺伝資源の保存を目的に,クライオプレート法を用いた新しい超低温保存法を検討した.2から8週令の植物から採取した0.2mmの茎頂を0.3Mショ糖の培地で10℃下2日間前培養した後,クライオプレートに固定し,植物用ヴィトリフィケーション液(PVS2)に室温10分間処理した上で液体窒素に浸漬することで,80%の生存が得られた.この方法により,栄養繁殖性トレニアの品種の安全で長期的な保存が可能となった.
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