研究実績の概要 |
C. hederifoliumとC. purpuarscensとの種間交雑後にコルヒチンまたはアミプロホスメチル(APM)を用いた倍加処理を伴う胚珠培養を行ったところ,ほとんどの処理区で雑種が得られ,APM処理区では,複二倍体と考えられる小植物体も得られた.しかし,後者においても順化後の成株になった時点での検定では,倍加されていない種間雑種と判定された.このようにC. hederifoliumとC. purpuarscensとの種間交雑においては,完全な複二倍体の獲得は難しいものの,安定して種間雑種が獲得できることは示された.なお,C. hederifoliumとC. purpurascensとの種間雑種は,多くの個体で両種の中間的な生育サイクルを示し,花弁中の主要アントシアニンは両親と同じマルビジン3, 5ジグルコシドであった. C. coumとC. mirabileとの交雑では,交雑14または28日後に,1/2N MS培地,1/4N MS培地またはB5培地を用いた場合に,C. alpinumとC. mirabileとの種間交雑では,交雑21日後にMS培地,1/2N MS培地,1/4N MS培地またはB5培地を用いて胚珠培養を行った場合に小植物体が得られ,C. coumまたはC. alpinumとC. mirabileとの種間交雑においても種間雑種を作出できることが示された. また,赤色花園芸品種と野生種の種間雑種では赤色花を有するものは認められなかったものの,園芸品種特有の覆輪花‘パピヨン’とC. hederifoliumまたはC. purpuarscensとの種間雑種においては覆輪花を有する個体が認められ,異ゲノム間の交雑でも覆輪花形質の導入は可能であることが示された.
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