本研究では、自家結実性で環境適応力の優れるキウイフルーツの育成に向け、国内で見出した両性自家結実性自生種とキウイフルーツとの交雑実生集団の特性を明らかにした。 最終年度において、1)両性系統とキウイフルーツの交雑後代において、A.chinensisの雌系統を種子親、両性系統を花粉親として得た個体はすべて形態的両性花を着生したが、花粉稔性はなかった。一方、両性系統を種子親、A.chinensisの雄系統を花粉親として得た個体はすべて雄花を着生し、変異はあったが花粉発芽が確認された。両性系統の自殖実生は全て両性花を着生し花粉発芽が見られた。2)A.chinensis「アップル」、「さぬきゴールド」と両性系統「Mh1」の交雑後代の果実は、両親の中間的形質を示した。果実は、エチレンに反応して追熟し、可溶性固形物10~14%、滴定酸1.3~1.9%であった。3)夏季の高温ストレス条件下で、両性系統には葉やけは全く見られず、交雑後代では、個体変異が大きかったが、葉焼けがほとんど見られないものもあった。光合成速度も、交雑個体間で変異が大きかったが、交配親を超えるものもあった。4)両性系統「Mh6」を台木としたA.deliciosa「ヘイワード」,A.chinensis「レインボーレッド」,種間雑種「香川UP-キ5号」の正常な生育が確認された。また「レインボーレッド」の初期成育が極めて優れる両性系統を見出した。 研究期間を通じて、両性系統とキウイフルーツの交雑後代の性表現が明らかとなった。両性系統を花粉親に用いた場合、形態的な両全花のみが発現することが示されたが、花粉稔性は認められなかった。両性系統に比べ、交雑後代の果実形質は向上したが、実用レベルには至らなかった。両性系統の耐暑性は、交雑後代に受け継がれる可能性が示され、キウイフルーツ品種との接ぎ木親和性を有することが明らかとなった。
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