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2018 年度 実施状況報告書

世界的ツバキ名花‘玉之浦’における覆輪形成のエピゲノム制御機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07643
研究機関九州大学

研究代表者

尾崎 行生  九州大学, 農学研究院, 教授 (60253514)

研究分担者 水ノ江 雄輝  九州大学, 農学研究院, 助教 (50759206)
増田 順一郎  宮崎大学, 農学部, 准教授 (60452744)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードツバキ / 覆輪形成 / エピゲノム制御機構 / 環境
研究実績の概要

まず,初年度にゲノムウォーキング法によって得られたCHSプロモーター領域の増幅産物(3,400bpおよび2,900bp)のシークエンス解析を行ったところ,いずれもCHSプロモーター領域ではないことが判明した.そこで,新たにプライマーを作成してゲノムウォーキング法を実施したところ,約1000bpの増幅産物を確認でき,シークエンス解析の結果から,CHSプロモーター領域であることがわかった.これまでにCHS遺伝子の上流から943bpまでの塩基配列を決定している.また,プロモーター領域の解析の結果,多数のCpGサイトを確認したが,CpGアイランドは存在していないことがわかった.
次に,培養花弁への低温処理およびケミカル処理が覆輪形成に及ぼす影響について調査した.11月上旬,11月下旬,12月中旬に採取した花蕾から花弁を切り出してショ糖を含む液体培地に浸漬し,3日間~1か月間の5℃低温処理を行った後に20℃で10日間培養し,覆輪形成を調査した.その結果,低温処理期間,処理時期による覆輪幅の差異は認められなかった.また,異なる濃度のアザシチジン(脱メチル化剤),ピリミジン系薬剤処理が覆輪形成に及ぼす影響についても調査したが,処理による覆輪幅への影響は認められなかった.
さらに,覆輪(白色)部におけるCHS遺伝子の発現抑制について,RNAiによるPTGS(post transcriptional gene silencing, 転写後ジーンサイレンシング)の可能性について検討した.PTGS抑制効果が報告されているCMV(キュウリモザイクウイルス)感染が,花弁覆輪形成に及ぼす影響について調査した結果,CMV接種個体に,覆輪幅が極めて狭い花の着生が認められた.このことから,‘玉之浦’花弁覆輪部におけるCHS遺伝子の発現抑制は,転写後ジーンサイレンシングによって起こっている可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究進捗をふまえて一部の計画内容を見直したが,研究目的達成に向けて概ね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

前年度,塩基配列を決定したCHSプロモーター領域に着目し,花弁の白色部位と赤色部位から抽出したDNAを供して,バイサルファイト法により白色部位と赤色部位におけるメチル化程度を比較するとともに,転写因子の発現量の解析を行う.あわせて両部位についてMSAP法によるメチル化程度の比較も試みる.
前年度の実験では,CMV接種個体において「覆輪が狭くなった花」と「対照と同程度の覆輪幅の花」とが混在していた.本年度は接種前の個体,接種後の個体,各花におけるCMVの有無について調査し,花ごとのCMV感染と覆輪形成との関連について調査する.
以上の結果をもとに,‘玉之浦’における覆輪形成のエピゲノム制御機構について総括し,環境依存型覆輪形成現象に関与するエピゲノム制御機構を明らかにする.

次年度使用額が生じた理由

研究実施期間中に,研究分担者との研究の進捗に関する情報共有を行った上で,今後の研究内容に関する打合せを行った結果,3年目の必要経費が当初見込みよりも大きくなることが予想されたことから,本年度の実験内容を一部見直し,経費の節減に努め,研究計画の効率的な遂行に努めた.

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公開日: 2019-12-27  

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