研究課題/領域番号 |
17K07647
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山本 雅史 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (00305161)
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研究分担者 |
山本 俊哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, ユニット長 (60355360)
奈島 賢児 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (30779616)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 染色体 / ゲノム / パインアップル / ピタヤ / 熱帯果樹 / CMA / DAPI / 蛍光染色 |
研究実績の概要 |
染色体は遺伝子の担体であり、これに関する情報を蓄積することは、育種・遺伝研究の発展に欠かせない。しかし、熱帯果樹においてはこの分野の研究が遅れている。そのため、今年度は我が国の主要熱帯果樹であるパインアップルおよびピタヤにおける染色体標本作製技術の確立を目的とした。本研究では小型染色体の観察に適している酵素解離空気乾燥法による技術開発を行った。 パインアップルにおいては、交雑実生の種子を材料とした。パインアップルは染色体が非常に小さいため、染色体を収縮させる効果のある前処理は行わない方がその識別には効果的であった。染色体標本作製に効果的な酵素条件は、2%セルラーゼオノズカRSおよび0.5%ペクトリアーゼY-23、37℃で45分であった。 ピタヤにおいては、挿し木苗の根端を材料とした。採取後、10℃、2mM、8-ハイドロキシキノリンで4時間前処理した。2%セルラーゼオノズカRS、0.75%マセロザイムR200および0.15%ペクトリアーゼY-23、37℃で45分の酵素処理で良好な染色体標本が得られた。 続いて、両者において、CMAおよびDAPIによる蛍光染色を実施した。パインアップルでは2個の染色体の端部にCMA+、DAPI-領域が観察された。CMAおよびDAPIの特性からこの部分はGCが多い領域であると考えられた。ピタヤでも2個の染色体の端部にCMA+、DAPI-領域が観察された。CMAおよびDAPIの特性からこの部分はGCが多い領域であると考えられた。 30年度においては、29年度に確立した染色体標本作製技術を用いて、さらに研究を発展させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の対象熱帯果樹であるパインアップルおよびピタヤにおいて、酵素処理空気乾燥法による染色体標本作製技術を確立した。さらに、両者においてCMAおよびDAPIを用いた蛍光染色を実施することにより、これらの染色体構成の特徴を解明し、一部の染色体を確実に識別することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
パインアップルおよびピタヤについて酵素解離空気乾燥法による染色体標本作製技術が確立できたので、これによって作成した染色体標本を用いて今後の研究を進める。 特に、特定の遺伝子の染色体上での位置を解明することができる蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法による研究を進める。はじめは、これら熱帯果樹におけるFISH法の確立および染色体構成の特徴を解明するため、染色体上のリボゾームDNAの位置・数を解明する。 その後は、さらにFISH法による研究を進展させる。パインアップルでは染色体識別に有効であると考えられる動原体部分を検出するFISH、トゲの有無や果肉色等有用遺伝子の染色体上での位置を検出するFISHを実施する。ピタヤにおいては染色体構成の種間差異をリボゾームDNAの位置・数の点から明らかにし、染色体の面から遺伝資源を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、29年度に蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を実施する予定であったが、詳細に酵素処理空気乾燥法を検討し、パインアップルおよびピタヤにおいて多数の種・品種を供試することとしたので、FISHは実施しなかった。 30年度にはプローブの作製およびFISHの実施に次年度使用額を使用する。
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