研究実績の概要 |
1.カキのプロアントシアニジン(PA)蓄積に関連して、カキ果実におけるプロアントシアニジン蓄積に関わる重要なステップであるガレート形成およびポリマー形成について明らかにすることを目的として研究を進めた。これまでの報告では、dehydroquinate dehydratase-shikimate dehydrogenase (DHD/SDH)が没食子酸生成酵素であるとされているが、カキのアイソフォームにはその活性が認めらない。また、チャにおいてserine carboxipeptidase-like protein (SCPL)がflavan 3-olsへの没食子酸転移酵素であるという報告があるが、 22遺伝子について配列が挙げられているだけで、機能同定はなされていない。本年度は,‘倉光’より単離したDHD/SDHのカキのアイソフォームについて酵素活性を確認するために新たなコンストラクトを作成した。現在は、GST融合タンパク質を大腸菌での産生とその機能解析を試みている。 2.プロアントシアニジンと基質を競合するアントシアニン生合成の鍵酵素であるマンゴーのUFGTについて、着色期にその発現が同調的に増加する遺伝子について、大腸菌にて融合タンパク質を産生・精製し性状解析行い、マンゴーの着色において主要な役割を果たすと考えられるUFGTを同定した。 3.ブドウの成熟開始期におけるフラボノイド生合成制御に関連して、ベレゾーン期の果粒の生理学的分析を行ったところ、ベレゾーン期直前のオーキシンの低下、アブシジン酸の分解の減少による内生アブシジン酸量の増加により果実の成熟や着色の進行が誘起されると考えられた。しかし、ベレゾーン期の着色の進行速度や成熟期後半の着色については、内生ABA含量と共に品種間差が認めることが明らかになった。
|