研究実績の概要 |
今年度は複数の栽培品種の花器官におけるトランスクリプトーム解析を中心に行った。当研究部門の遺伝資源で維持・栽培している複数の栽培品種(計6品種)の開花後の花器官からRNAを単離し、申請者が昨年度報告した栽培品種‘セイマリン’におけるEST情報(Sasaki et al. 2017, BMC genomics;本研究課題のための先行研究)によりプローブ作成を行ったオリジナルマイクロアレイ(180k)を利用したトランスクリプトーム解析を行った。シロイヌナズナでは、転写因子は1726 loci存在する(Jin et al. 2017, NAR) 一方で、‘セイマリン’では、6996コンティグ、2375クラスター(6倍体のため、遺伝子配列が類似した複数のコンティグまたはアレルが存在するため、TBLASTNにおけるE-value が1.0e-100以下のコンティグを機能が類似したクラスターとしてまとめた)存在することが明らかとなっている。そこで、オリジナルマイクロアレイでは、多数遺伝子のプローブ(180k)を用いてトランスクリプトーム解析を行うのと同時に転写因子の発現に着目して解析を行った。また、今年度はトランスクリプトーム解析と平行して、花器官形成に重要と思われるABCモデルにおけるクラスA遺伝子であるAP2遺伝子のキメラリプレッサー(AP2-SRDX)および、miRNAによる制御を受けないmAP2-ox(過剰発現)の‘セイマリン’への導入を進めた。また、他課題における申請者の研究テーマではあるがCRISPR/Cas9を利用したゲノム編集技術の開発が進み、栽培ギクでも利用できるような結果が確認されたことから(Kishi-Kaboshi et al. 2016, PCP)、本課題でも転写因子の機能抑制のコンストラクトについて、SRDXのみならすゲノム編集の利用についても検討を進めた。
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