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2018 年度 実施状況報告書

キクにおける集合花の分化および花器官の多様性付与に関わる転写因子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 17K07657
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

佐々木 克友  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門, 上級研究員 (60469830)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードキク / 転写因子 / 花
研究実績の概要

昨年度から、 六倍体である栽培ギクのモデル系統として利用している白花品種 ‘セイマリン’を用いて、花器官形成に重要であるABC遺伝子機能の改変を目的とした遺伝子組換え体の作出を進めている。まずはクラスAに分類されるAP2遺伝子機能の抑制を目的としたキメラリプレッサーベクター(AP2-SRDX)およびmiRNAによる制御を受けないmAP2-ox(過剰発現)ベクター、さらに、キククラスC遺伝子機能の抑制を目的としたキメラリプレッサーベクターを導入した。今年度はこれらのベクターを用いて組換え体の作出と花器官の観察を行った。AP2-SRDX組換え体については、花弁や花全体のサイズが小さくなる形態変化が見られたが、mAP2-ox組換え体については形態変化が見られなかった。一方、キククラスCキメラリプレッサー組換え体については、過剰発現型の35Sプロモーターではほとんど形態変化が見られなかったが、花器官特異的プロモーターを利用することで部分的な生殖器官の形態変化、舌状花弁の開烈、花弁の矮小化、頭花における舌状花や管状花のバランスの変化、など複数の形態変化が観察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

具体的な解析手法として予定していた花器官形成に関わるトランスクリプトーム解析については、解析が遅れているが、その一方で、AP2キメラリプレッサーと35Sプロモーターの組合せ、およびクラスCキメラリプレッサーと花器官形成プロモーターとの組合わせにより、生殖器官の形態変化、舌状花弁の開烈、花弁の矮小化、頭花における舌状花や管状花のバランスの変化などの複数の花器官の形態変化が観察されている。これらのことは、キクの集合花における舌状花と管状花の分化または形成に影響のある転写因子の機能解析にとって有用な情報といえる。また、花弁の形態を変化させる転写因子およびプロモーターの組合わせも明らかになったことから、部分的な解析(トランスクリプトーム解析)は遅れていながらも、当初の研究目的(1.集合花を構成する2 種類の花である舌状花および管状花の分化の鍵となる因子の解析、2.集合花の分化または花弁の形態を変化させる転写因子の単離)としては順調といえる。

今後の研究の推進方策

今年度は、AP2キメラリプレッサーおよびクラスCキメラリプレッサーが導入された組換え体の中から、花器官の形態が変化した組換え体の解析を予定している。クラスCキメラリプレッサーを導入した組換え体については、花の形質変化が複数種類見られていることから、光学顕微鏡やSEMを利用した花の観察や遺伝子発現解析を予定している。また、得られた花の形質の安定性の確認、さらに、花の形態変化が導入遺伝子の機能改変によるものか確認することを目的として、導入遺伝子の確認(ゲノミックPCR)および導入遺伝子の発現解析(RT-PCR)、または下流遺伝子の発現解析等を予定している。

次年度使用額が生じた理由

比較的高額な解析費用を要する分子生物学的解析ではなく組換え体作出に注力したことから、経費が当初予定した金額より低く抑えられたため。最終年度は組換え体の分子生物学的解析を行うことからも、次年度使用額が生じている。

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公開日: 2019-12-27  

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