研究実績の概要 |
ブルーベリー小球形潜在ウイルス(blueberry latent spherical virus, BLSV)は、岩手大学滝沢農場のノーザンハイブッシュブルーベリー樹(Vaccinium corymbosum)より発見された新種のネポウイルスである。令和元年度は、BLSV感染ブルーベリー樹由来の花粉の受粉により、健全ブルーベリー樹へBLSVが水平伝染(花粉による水平伝染)することを検証し、その伝染メカニズムについて解析した。 BLSV感染ブルーベリー樹より採取した花粉を健全ブルーベリー樹31個体へ人工授粉することにより、BLSVの花粉による水平伝染試験を行った。授粉388日後にウイルス検定すると、31個体中12個体よりBLSVが検出され、BLSVは非感染ブルーベリー樹へと花粉により水平伝染することを明らかにした。そして、BLSVの草本宿主植物であるNicotiana benthamiana, N. alata, ペチュニア(Petunia × hybrida), アサガオ(Ipomoea nil)で、花粉による水平伝染が再現されることを明らかにした。さらに、BLSVに感染したN. alata, ペチュニア、ブルーベリーの花粉を、健全N. benthamianaに人工授粉すると、BLSVがN. benthamianaへと伝染することを見出した。これら感染植物由来の花粉を健全N. benthamiana柱頭に授粉して、その動態を解析すると、花粉による水平伝染が生じる場合には、花粉から発芽した花粉管が、N. benthamianaの柱頭に侵入していることが分かった。柱頭に侵入している花粉管を解析すると、花粉管にウイルスが蓄積しており、花粉管が侵入した柱頭にウイルスの感染が確認されることを明らかにした。
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