研究課題
基盤研究(C)
サリチル酸(SA)は植物の病害抵抗性において重要な役割を果たす情報伝達物質である。本研究では、タバコおよびベンサミアナタバコを実験材料に用いて、主に以下の2点を明らかにした。(1)過敏感反応時に発現が誘導される2種類の酵素の遺伝子やペルオキシソームのβ酸化を触媒する酵素の遺伝子が、病原体シグナルに応答したSA合成に必要なことを明らかにした。(2)2種類のCBP60型の転写因子が、(1)で同定したSA合成関連遺伝子の病原体シグナルに応答した発現に必要なことを明らかにした。
植物病理学
近年、安全で耐性菌の出現しにくい次世代型の農薬として、植物の病害抵抗反応を誘導することにより病害を防除する“プラントアクティベーター農薬”が注目されている。しかしながら、プラントアクティベーター農薬の開発は難易度が高く、実際に登録されている化合物は数種類に過ぎない。本研究で同定されたSA合成に必要な酵素の基質(SAの前駆化合物)等が明らかになれば、プラントアクティベーター農薬の開発に利用可能であると期待される。