研究課題/領域番号 |
17K07667
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
大西 浩平 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (50211800)
|
研究分担者 |
木場 章範 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (50343314)
曵地 康史 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (70291507)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 遺伝子発現解析 / 植物病原細菌 / hrp / レポーター遺伝子 |
研究実績の概要 |
青枯病菌のhrpレギュロンを直接制御する転写調節因子はHrpBであるが、hrpBの発現は二成分制御系のレスポンスレギュレーターであるHrpGとPrhGの両方により正に制御されている。これまでに、HrpGとPrhGのC末端側にFLAG tagを付加した融合タンパク質(いずれも制御因子としての機能は保持している)を作製し、抗FLAG抗体を用いて細菌内での検出を行ってきた。青枯病菌をタバコ葉に接種し、hrpレギュロンを最大限に発現させることで検出は可能ではあるものの、いずれのタンパク質も非常に不安定であった。その要因としてプロテアーゼの関与が考えられ、Pseudomonas syringaeにおいてhrpレギュロンを負に制御することが知られているLonプロテアーゼに着目した。lon変異株は固体培地における増殖が著しく低下していたが、液体培地における増殖能は野生株とほぼ同等であった。lon変異株においては、hrpBやhrpレギュロンの構成遺伝子の発現が上昇していたことから、HrpGやPrhGの安定性が向上している可能性が考えられた。 prhGの発現調節を通じてhrpB発現を制御するprhKLMの3つの遺伝子について、転写を直接調節する因子ではないこと以外、機能は全く分かっていなかった。2017年にこれら3つの遺伝子と相同な遺伝子産物が、原核生物型の5-oxoprolinaseを構成することが示された。本酵素はグルタミン酸と5-oxo-L-proline (OP)の間の反応を触媒する。グルタミン酸を炭素源として青枯病菌を培養することで、hrpレギュロンの発現が誘導されることから、OPがprhGの発現やhrpBの発現を直接誘導する因子である可能性が示唆された。OPを培地に添加したときのprhKLM変異株におけるhrpレギュロンの発現について今後詳細に調べていく必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画にない事項については、大きな進展を得ることができたが、hrpレギュロンの発現を誘発する植物シグナル因子の同定にはいたっていないことから、やや遅れ気味であると判定した。
|
今後の研究の推進方策 |
青枯病菌のlon変異株を用いて、実際にHrpGやPrhGの安定性が向上しているのかについて調べる。これまでに構築したhrpG-FLAG, prhG-FLAG発現株にlon変異を導入した株を構築する。親株とlon変異株をタバコ葉に注入したのち回収し、HrpH,PrhGを検出する。lon変異株においてHrpG, PrhGの安定性が向上していることが確認できたならば、それぞれのリン酸化について調べる。 5-oxo-L-proline (OP)は試薬として購入可能であることから、青枯病菌野生株やprhKLM変異株の培養液にOPを添加しhrpレギュロンの発現が上昇するかについて調べる。 本来の研究の最終目的である、hrpレギュロンを誘導する植物因子の探索を遂行する。タバコ及び矮性トマトを栽培し、その根及び葉の内容物をこれまでに構築したGFPの蛍光を利用したアッセイ系に添加することで、ターゲット分子を絞り込んでいく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
メーカーのキャンペーンなどを利用し、消耗品費を抑制することができた。 海外での国際学会発表を行わなかったことから、旅費の使用が少なくなった。 今年度は国際学会への参加が決定しており、使用する。
|