研究課題/領域番号 |
17K07670
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
薦田 優香 酪農学園大学, 農食環境学群, 講師 (90716482)
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研究分担者 |
中原 健二 北海道大学, 農学研究院, 講師 (90315606)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ポティウイルス / 劣性抵抗性 / マメ科 |
研究実績の概要 |
クローバ葉脈黄化ウイルスの宿主であるエンドウやダイズなどを用いて、カルス化や液体培養細胞ラインの構築に着手した。 ダイズ:グロースチャンバー内で育成させたダイズ(品種名ユキホマレ)の主茎を用いてカルス化の条件検討を行い、誘導されたカルスの中から適したものについて液体培地での培養を行った。現在までに、液体培地で安定的に増殖するラインを得ている。 エンドウ:クローバ葉脈黄化ウイルスに感受性のエンドウおよび劣性抵抗性遺伝子をもつエンドウを用いてカルス化の条件検討を行っているが、褐色で硬いカルスしか得られておらず、液体培地での培養には至っていない。そこで並行して、植物体からのプロトプラスト単離法の確立を目指した。まず、播種後2-4週間のエンドウ葉からプロトプラストを効率的に単離し、プラスミドDNAを導入する手法を確立した。また、ルシフェラーゼ活性を指標にウイルス増殖を定量できるよう、クローバ葉脈黄化ウイルスの感染性cDNAクローンに、ルシフェラーゼ遺伝子を挿入した。感受性エンドウおよび劣性抵抗性遺伝子保有エンドウからプロトプラストを単離し、クローバ葉脈黄化ウイルスのcDNAクローンを導入することで、ウイルスの増殖効率を比較した。現段階では、感受性エンドウとcyv1劣性抵抗性エンドウとの間にウイルス増殖の差がみられておらず、cyv1劣性抵抗性は、一細胞レベルではウイルス増殖を抑制しないという可能性が示唆された。すなわち、cyv1劣性抵抗性遺伝子は、ウイルスの細胞間移行の抑制に寄与するものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試験管内実験系の構築に向けて、ダイズの液体培養細胞ラインを作出できた。また、エンドウ劣性抵抗性遺伝子cyv1が、一細胞レベルではポティウイルスの複製を抑制しないことを示唆する新規データが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きダイズ液体培養細胞ラインの増殖効率の安定化を行う。ダイズ培養細胞のプロトプラスト化、脱液胞化、試験管内翻訳液調製までの条件検討を行う。また、エンドウ劣性抵抗性遺伝子とウイルス増殖効率との関係について詳細な解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ダイズ液体培養細胞ラインの構築が予定より順調に進んだ一方、既存の試験管内系を用いた研究を次年度以降に持ち越したため、次年度使用額が生じた。今後、ダイズ培養細胞由来の試験管内実験系の構築、エンドウ劣性抵抗性遺伝子の機能解析研究に使用する計画である。
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