研究課題/領域番号 |
17K07671
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
鍵和田 聡 法政大学, 生命科学部, 講師 (20431835)
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研究分担者 |
平田 賢司 法政大学, その他部局等, 講師 (70793991)
西尾 健 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (90356288)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ネポウイルス / ウイルス媒介性線虫 / Xiphinema spp. |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、宿主範囲が広く、日本独自のネポウイルスと考えられているCycas necrotic stunt virus(CNSV)を軸にした国内産のネポウイルス、ウイルス媒介性線虫、増殖用植物を用いた実験系を開発した上で、この系を用いて研究が少なく不明点が多く、EU向け盆栽や草花苗などの輸出阻害要因となっているネポウイルスの伝搬メカニズム、媒介性線虫の生態、線虫の分類上の問題などの解明を目指している。 実施計画に従って、日本で発生しているCNSVおよびArMVのネポウイルス、アカザ属2種とペチュニア属1種の感受性植物、Xiphinema 属3種線虫によりネポウイルスの線虫伝搬性を網羅的に調査した。その結果、ウイルスの線虫伝搬性は、CNSV、X. bakeriおよびアカザ属Chenopodium quinoaの1つの組み合わせだけで確認され、ウイルス伝搬率は10株中1株と低率であった。このため、分かった日本産線虫種のネポウイルス種の伝搬条件は極限られており、線虫-植物-ネポウイルス実験系の完成には至っていない。 また、線虫による根先端部のゴール形成条件を調査するため、クワ実生、アカザ属2種(C. quinoa、C. amaranticolor)の若い苗にX. bakeriを接種して根先端部のゴール形成について、線虫接種密度3段階および線虫接種後の期間(10、20、30日間)の条件で調査した。その結果、総ゴール数はクワ実生、C. quinoa、C. amaranticolorの順に明らかに少なくなり、線虫1頭当たりのゴール数は最も低い線虫密度で多く、調査期間が長くなる程ゴール形成数の増加は少なくなった。これらの傾向は供試した3種類の植物でともに見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の実施計画の内、ネポウイルスの線虫伝搬試験は、わが国に発生するネポウイルス2種、感受性植物3種、Xiphinema 属3種線虫の組み合わせについて1つずつ試験を実施したが、ネポウイルスの線虫伝搬性の確認には、線虫のウイルス保毒、健全植物への保毒線虫接種、健全植物のウイルス感染確認などの各行程が必要でこれらには1つの組み合わせで2ヶ月程度の期間を要した。このため、試験計画どおりに実施していないネポウイルス、感受性植物およびXiphinema 属線虫の組み合わせは半分程となった。 わが国に発生するネポウイルスのXiphinema 属線虫による伝搬性試験を進めて、線虫-植物-ネポウイルス実験系の完成を優先して実施していくことが必要と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況から、今年度の研究計画で完了していないわが国に発生するネポウイルスのXiphinema 属線虫による伝搬性試験を優先して実施して、線虫-植物-ネポウイルスの実験系の完成を目指していく予定である。このため、今年度調査期間を要したネポウイルスの線虫伝搬性の確認試験では、線虫汚染土壌から分離検出したXiphinema 属線虫を供試していたのを改めて、まずXiphinema 属線虫の汚染土壌によるウイルス伝搬性の有無の確認試験を行う。汚染土壌のウイルス伝搬性が確認された場合に、計画どおり線虫汚染土壌からXiphinema 属線虫を分離検出して線虫伝搬性試験を実施する。 改めた方法により、実施期間は大幅に短縮することが可能と考えられる。このため、次年度の実施計画は予定どおり進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究計画のうち、ネポウイルスの線虫伝搬試験について、ウイルス保毒、線虫接種、ウイルス感染確認の各行程に時間を要し、計画通りに進んでいないため、次年度についても引き続き行いたい。その試験に用いる器具、試薬類を購入するため、今年度予算を使用する予定である。
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