植物寄生性線虫が農業上の重要害虫であることは、広く認識されている。それにも関わらず病害メカニズムの解明が進んでいない理由には、その扱いにくさがある。感染ステージの幼虫は1mmに満たず肉眼で見えないこと、土壌中で根に感染するため観察が難しいこと、絶対寄生生物であるため実験室での維持に労力がかかること、などが挙げられる。 我々は、多数のサツマイモネコブセンチュウ系統を材料として、ゲノム科学の側面から研究を進めてきた。本線虫種は、ゲノム進化や環境適応の研究材料として、学術的に大きな可能性をもっている。本研究で得られた基礎的な知見は、安全かつ持続的な生物的防除方法の確立に役立てていくことができる。
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