トウモロコシ飼料に蓄積した赤かび病菌の生産するDONに対し、培地上で分解能を有することを明らかにした細菌株について、夏作飼料用トウモロコシを対象としたDON分解効果を調査し、その有効性を確認した。2017年の北海道農研セの圃場において、絹糸抽出後10日後に赤かび病菌懸濁液0.1ml(10の7乗/ml)をシルクチャンネル法で注入接種し、病原菌の接種10日後の8月7日から、10日おきに4回、10ml(10の8乗cfu/ml)の分解菌培養液を雌穂先端から皮内部に流し込むように接種した(10菌株、1区5株、n=3)。収穫後、各子実を乾燥粉砕しDON濃度をエライザ反応で測定した結果、無処理区の飼料抽出液のDON濃度が11.67ppmであったところ、菌株によっては2.53ppmに低減するなど、5菌株に無処理区に対して有意な低減効果が認められた。 これらの5菌株については、2018年に反復試験(n=5)を行って効果の確認を行ったところ、Devosia sp. SS5株など3種の分解菌に再度有意なDON低減効果が認められた。これら3菌株については、2019年にさらに試験区を増加させた反復試験(n=6)を行って効果の再現性を調査したところ、再々度有意差が認められ、これら3菌株の圃場でのDON低減効果が確認された。以上の三年間の試験結果により、これらの菌株の利用による、かび毒分解技術の開発の可能性が示唆された。
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