研究課題/領域番号 |
17K07687
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
小林 徹也 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (90355321)
|
研究分担者 |
真田 幸代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 上級研究員 (80533140)
松村 正哉 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, グループ長 (00370619)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | トビイロウンカ / バイオタイプ / 抵抗性遺伝子 |
研究実績の概要 |
抵抗性イネを加害するトビイロウンカバイオタイプと加害しないバイオタイプを交配して後代を作成し、抵抗性イネ上での吸汁活動の有無を判別基準として加害性検定を行った。吸汁活動で加害性を見た場合は交配後代30-40世代においても加害性個体と非加害性個体は一定の割合で分離した。検定終了後、加害性個体と非加害性個体をそれぞれ回収し、個体別あるいは同じ加害性を持つ個体の集団としてゲノムDNAを調整して、それぞれのゲノム配列を次世代シーケンシングにより解読した。解読にはIllumina社のHiSeq Xを用いた。すでにデータを取得しているF2,F3世代等のゲノム解析データと合わせてSNP多型の解析を行い、加害性個体のみでホモ化しているゲノム領域およびtranscriptomeの塩基配列を複数得た。このデータから加害性と強く連鎖する候補遺伝子を数個に絞り込んだ。これらの候補遺伝子は抵抗性遺伝子に対する加害性を決定する因子である可能性がある。しかし、候補遺伝子の塩基配列は未知のタンパク質をコードしており、アミノ酸配列のみからの機能の推定は難しいと考えられた。また、スプライシングバリアントが複数存在することも明らかになった。現在、これらの候補遺伝子について、cDNA全長配列の取得、詳細な連鎖状況の確認、発現量の調査などを行っている。また、今後イネの持つ抵抗性遺伝子とのタンパク質間の相互作用を確認するための実験を立案し、材料の選定と必要なタンパク質合成の準備を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り候補遺伝子が得られている。引き続き絞り込みを進めていく。
|
今後の研究の推進方策 |
得られた候補遺伝子の中に加害性を支配する因子が含まれているかを確認する必要がある。このため、RNAiやゲノム編集技術等を用いて遺伝子のノックダウン/ノックアウトによる機能の確認実験を行う。また、候補遺伝子のコードするタンパク質が抵抗性遺伝子のタンパク質と直接結合する可能性について、実験を行って確かめる必要がある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
得られた候補遺伝子の塩基配列による機能推定が困難だったため、機能破壊実験によって機能を確かめる方法を繰り返し行う必要があった。次のステップの実験に進むのが遅れたため、試薬の購入を平成30年度とし、速やかに使用する予定。
|