研究課題
イネのトビイロウンカ抵抗性遺伝子Bph1を打破するウンカバイオタイプ2は遺伝的に安定した抵抗性打破因子を持つ。昨年までの本研究における繰り返しの交配と連鎖解析により、このバイオタイプがもつBph1加害性と連鎖するウンカゲノム領域をnMB(非公表)まで絞り込んだ。抵抗性打破遺伝子が存在するこのゲノム領域について、昨年までに標準ウンカ系統のゲノム配列を特定しているが、本年度は、交配親のひとつであるバイオタイプ1(Bph1非加害であり非加害遺伝子を持つ)のゲノム配列を詳細に解析するため、Chromiumロングシーケンスで得た配列と比較した。結果、非加害バイオタイプの当該ゲノム領域において座乗する遺伝子とnon coding RNA、small RNAの全貌を明らかした。座乗する遺伝子について、それぞれの発現部位、発現量、コードするアミノ酸配列と推定される機能、シグナルペプチドの有無、バイオタイプ間の転写量の差異等を部分的に明らかにした。また、RNAi法による発現抑制実験を行い表現型の解析を行った。Non coding RNAは特定のゲノム領域に集中しており、加害性と強く連鎖していた。また、non coding RNAの発現量や発現パターンはバイオタイプ間で顕著な差があり、Bph1加害性に関与していることが強く示唆された。さらに、現在配列情報が不足しているscaffold間や、scaffold内のコンティグ間の配列ギャップを埋めるため、同じ系統のゲノムDNAについてPacBioシーケンシングにより解析してゲノムデータを得た。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Scientific Reports
巻: 9 ページ: 4203
10.1038/s41598-019-40863-5.
Molecules
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