研究課題/領域番号 |
17K07706
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
園木 和典 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (20502264)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | cis,cis-muconic acid / 安息香酸 / リグニン |
研究実績の概要 |
安息香酸の資化性を温度条件依存的に変化させる変異型cis,cis-muconate cycloisomerase (CatB-mut) についてH29年度に引き続き解析を進めた。CatB-mutタンパク質はCatB活性を失っていながらも、catB-mut遺伝子の発現がΔcatB株の安息香酸の資化性に温度感受性を与えることを明らかにした。そこでRNA-seq解析からcatB-mut遺伝子発現株に特異的な遺伝子の発現解析を進めた。 catB-mut遺伝子を発現させたΔcatB株において発現変動する遺伝子群の中から、同株のBA代謝に関連する遺伝子群を限定するために、まずΔcatB株よりも発現量が有意に増減している遺伝子群を選抜し、さらにcatB-wt遺伝子を発現させたΔcatB株と比較して有意に発現量が増減している遺伝子群を選抜した。その結果、catB-mut遺伝子の発現によりその発現が上昇した遺伝子として、LysRファミリー、Cro/CIファミリーの転写制御因子と相同性が高いタンパク質をコードする複数の遺伝子と機能未知遺伝子を選抜した。これらの遺伝子についてそれぞれ遺伝子破壊株の作出を進めている。またcatB-mut遺伝子の発現により、その発現が有意に減少した遺伝子についても解析を進め、膜タンパク質をコードする複数の遺伝子を選抜した。これらの遺伝子についても温度条件依存的な安息香酸の資化性に対する効果を評価することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
catB-mut遺伝子の発現により誘導される表現型の原因の解明に向けて、RNA-seq解析から、catB-mut遺伝子を発現するΔcatB株に特異的な遺伝子発現変化を示した遺伝子群を選抜し、発現上昇を示した遺伝子群については破壊株作成へと進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
catB-mut遺伝子の発現により発現上昇を示した遺伝子群の破壊株作成と評価を進め、安息香酸の資化性に温度感受性を与える原因遺伝子の同定を進める。また発現低下を示した遺伝子群についても一過性発現株を構築し、それらの効果を評価し、catB-mut遺伝子発現による代謝制御を総括する。また本研究では、多様なリグニン由来芳香族化合物をcis,cis-muconic acidへと効率よく収束するために有効な変異としてcatB-mut遺伝子を見出しその解析を進めてきた。次の展開への布石として、catB-mut遺伝子以外にもリグニン由来芳香族化合物のcis,cis-muconic acidへの収束に効果的な機能の調査も併せて進めていく。
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