研究実績の概要 |
安息香酸 (BA) からcis,cis-muconic acid (ccMA) を培養温度に依存して蓄積する変異株のRNA-seq解析から, その発現が顕著に上昇または減少した6遺伝子 [PP_2121(lipoprotein)、vacJ (lipoprotein VacJ),PP_0036 (transcriptional regulator),PP_1550 (Cro/CI family transcriptionalregulator),PP_4349 (hypothetical protein),PP_5701 (hypothetical protein) を絞り込んだ。それぞれの遺伝子破壊株,遺伝子発現株を作出し,BA資化性の温度感受性に対する効果を評価した。6遺伝子中4遺伝子の発現・破壊は,BAからccMAを温度依存的に蓄積する表現型に対して影響はなく,原因遺伝子である可能性が低いことが示唆された。PP_0036遺伝子,PP_4349遺伝子の発現も前記の表現型に対して影響はなかったが,破壊株が得られなかった。これら2遺伝子は生育必須遺伝子と考えられ,またccMAを温度依存的に蓄積する表現型には, これら2遺伝子の制御下にある遺伝子群の関わりも考えられた。 本研究ではccMA生産の効率化に向けて, リグニン由来芳香族化合物からのccMA生産に効果的な機能の探索も実施し,ccMAを生産するために必須の機能であるprenylated-FMNの合成に,RNA pyrophosphohydrolaseと高い相同性を示す酵素遺伝子が関わることを見出した。この遺伝子の発現強化により,ccMA合成活性向上が示唆された。
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