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2017 年度 実施状況報告書

多細胞体形成により誘導されるPaenibacillus sp. 株の運動能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K07721
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

小林 和夫  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (70324978)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードmotility / surface sensing / transcription / flagellum
研究実績の概要

Paenibacillus sp.株でmini-Tn10 挿入変異株ライブラリーを作製し、約20000コロニーより、90の運動能欠損株を単離した。それらの株のmini-Tn10の挿入部位を決定したところ、大部分は、鞭毛形成遺伝子への挿入であったが、鞭毛形成遺伝子とは考えられない10個の遺伝子への挿入が同定された。これらの遺伝子の遺伝子欠損株を作製したところ、6つの遺伝子の欠損が、運動能を大きく低下させることが確認された。さらに、鞭毛形成への影響を解析したところ、これらのうち、2成分制御系DegS-DegU、S-layerの糖鎖付加に必要なPBN151_4312、機能未知の菌体外タンパク質PBN151_3459の3つが、鞭毛遺伝子の転写誘導に必要であることが明らかとなった。
Paenibacillus sp.株の鞭毛形成は、液体培地と比べ、固形培地で非常に強く誘導され、その誘導は転写レベルで起こっていた。そのため、Paenibacillus sp.は、細胞が固形培地上にあることを感知する「表面感知のシステム」をもち、そのシステムが鞭毛形成遺伝子の転写を制御していることが示唆された。鞭毛遺伝子の発現は、液体培地にFicollを添加して培地の粘度を上げることで誘導されること、また、鞭毛のモータータンパク質遺伝子を欠損させると、鞭毛遺伝子は液体、個体培地にかかわらず恒常的に発現することから、鞭毛自体が培地表面との接触による抵抗の増加を感知することで表面感知システムとして機能することが示唆された。さらに、DegS-DegUを過剰発現させた場合にも、鞭毛遺伝子は、液体、個体培地にかかわらず恒常的に発現した。これらのことから、DegS-DegUは、鞭毛を介して表面感知のシグナルを受け取り、鞭毛遺伝子の発現を誘導しているのではないかと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

この菌株で使用できるベクター系が限られていることもあり、変異株の作製など菌株の扱いに苦労している。必要なベクター系が徐々にそろいつつあるので、この問題は間もなく解決できると考えている。また、今年度は、学生が取れず、人手が足りなかった。

今後の研究の推進方策

DegSUは、多くのバシラス族細菌での重要な機能を担っているが、その活性化シグナルおよび活性化機構は、これまで不明である。来年度は、DegSUの活性化機構の解析を優先して進める予定。

次年度使用額が生じた理由

顕微鏡が故障したため、来年度更新する必要があり、そのために、今年度の支出を抑えた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Surface Sensing for Paenibacillus sp. NAIST15-1 Flagellar Gene Expression on Solid Medium.2017

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi K, Kanesaki Y, Yoshikawa
    • 雑誌名

      Applied Environmental Microbiology

      巻: 83 ページ: e00585-17

    • DOI

      10.1128/AEM.00585-17

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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