アルキルアルコールを配糖化する微生物反応について、活性微生物の探索と得られた活性株による各種基質の配糖化検討、および配糖化酵素の性質解明を進めている。 Ensifer adhaerence NBRC100388からα-グルコシダーゼ遺伝子(EaG)のクローニングと大腸菌への形質転換を行った。形質転換した大腸菌を三角フラスコ(LB培地)で培養し、IPGによる誘導で活性株を得た。本菌株から配糖化酵素を陰イオン交換クロマトグラフィーおよびゲルろ過クロマトグラフィーにより菌体破砕液から精製し、酵素の諸性質を調べた。分子量は60kDaで、至適pHは7.5、至適温度は40℃であった。本酵素は1価の陽イオンにより活性化された。加水分解活性はマルトース、マルトトリオースなどに活性を示した。一方、アミロースやセルロースなどへの加水分解活性は示さなかった。配糖化活性では、ネロールや6-ジンゲロールの1,2級アルコールのみならず、リナロールなどの3級アルコールも基質となることが確認できた。さらに、ラセミ体のリナロールを基質とし、アクセプター基質への立体選択性をし食べた結果、(-)基質に対し20%e.e.の選択性を示すことが判った。今後は他菌株の配糖化活性の立体選択性を調べること、および変異EaGを用いた立体選択性の改良などを試みる予定である。また、土壌からのスクリーニング微生物を用いたポリフェノール等の複数水酸基を持つ化合物への位置選択的な配糖化検討も行っている。これらの高精度な配糖体の合成技術により医療や食品分野で役立つ配糖体の合成が可能になると考える。
|