研究実績の概要 |
1) Lactococcus lactis G50の細胞表層タンパク質YwfGはN末端側からL型レクチンドメイン(LD)、ユビキチン様β-grasp foldドメイン(GD)、続いてムチン結合ドメイン(MD)が4つ連なる構造をもつ。LD (28-270)、LD-GD (28-336)、LD-GD-MD1 (28-511)およびMD4 (860-1034)の4つの領域を大腸菌で発現させた後、精製を行い、alpha1,2-、alpha1,3-、alpha1,4-、alpha1,6-マンノビオースとの相互作用解析を等温滴定型カロリメトリー(ITC)を用いて実施した。LDに対して4種のマンノビオースはいずれも結合を確認したがalpha1,2-マンノビオースに対する結合能がもっとも高かった(解離定数KD=34microM)。興味深いことに、マンノビオースとの結合はLDのみで測定され、LD-GD、LD-GD-MD1は全く結合性を示さなかった。 2)マンナンタンパク質放出性をもつSaccharomyces cerevisiae AB9(MATa/alpha gpi10/gpi10)およびmnn2変異株AB9-2(isogenic to AB9) の培養ろ液を限外濾過後エタノール沈澱したものをマンナンタンパク質として用い、ITC解析を行なった。AB9株由来のマンナンタンパク質とLDとのITC解析において結合エネルギーが観測できた。一方、alpha1,2-マンノース転移酵素欠損株であるAB9-2株由来のマンナンタンパク質(alpha1,2-結合のマンノースが少ない)ではAB9株由来と比べてLDとの結合性が低い傾向が見られ、マンノビオースの結果と矛盾しない結果が得られた。 3) LD-GD-MD1結晶にalpha1,2-マンノビオースをソーキングした結果、結合が確認された。
|