研究課題
本年度は、共生糸状菌の宿主を用いた二次代謝産物の役割の解析を行うとともに、共生糸状菌を用いた化合物発掘を継続し、発掘した化合物を用いて化合物の生物間相互作用における役割を解析した。Gloeophyllum trabeum(キノコ、植物病原菌)のグループC TAS1ホモログの遺伝子クラスターの遺伝子群のイネいもち病菌における異種大量発現株を作製し、生産物を解析したが、G. trabeumにおけるグループC TAS1ホモログの遺伝子の大量発現株と同じ代謝物は得られなかった。一方、グループD TAS1ホモログがテヌアゾン酸とは異なる新規化合物を生合成することを見出していたが、この新規化合物の生合成の鍵となるドメインを見出すために、テヌアゾン酸の生合成酵素TAS1(グループA)とのドメイン交換実験を行い、KSドメインが鍵となることを示唆するデータを得た。二次代謝活性化による共生糸状菌からの化合物発掘と活性化メカニズムの解析においては、二次代謝制御化合物であるNPD938で糸状菌Fusarium sp. RK97-94を処理することにより、非常に強力な抗マラリア活性(IC50=1.5 nM)を示す新規化合物dihydrolucilactaene(DHLC)を取得した。共生糸状菌の宿主を用いた二次代謝産物の役割の解析においては、イネいもち病菌の二次代謝産物テヌアゾン酸の役割に関する知見を得た。テヌアゾン酸の生合成遺伝子TAS1の発現は感染後期に誘導され、テヌアゾン酸が感染後期に何らかの機能を持つことが示唆された。また、TAS1を常時発現させると、イネのジャスモン酸応答遺伝子等の発現誘導を引き起こし、いもち病菌の感染を阻害することが示唆された。
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