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2019 年度 実施状況報告書

アシル基転移酵素によるキャリアータンパク質認識機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07747
研究機関東京工業大学

研究代表者

宮永 顕正  東京工業大学, 理学院, 助教 (10623126)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード微生物酵素 / 結晶構造解析 / タンパク質間相互作用 / クロスリンク
研究実績の概要

ポリケタイド合成酵素 (PKS) の反応において、アシル基転移酵素 (AT) はアシル基を受け渡す相手であるキャリアタンパク質 (CP) を厳密に認識していると考えられている。しかし、ATとCPの間の相互作用が弱く、ATとCPの複合体の結晶構造解析が困難なため、CP認識機構の詳細は不明であった。本研究では、クロスリンク法を利用することによりATとCPとの複合体の結晶構造解析を行った。
前年度までに、クロスリンク反応を行うためのパンテテインアミドプローブを開発し、ジソラゾール合成酵素におけるATとCP1 (PKSモジュール1のCPドメイン) の複合体構造解析に成功した。今年度は、ビセニスタチン生合成に関わるVinK (AT) のCP認識機構を調べた。VinKとLdCP (PKSローディングモジュールのCPドメイン) のクロスリンク反応を行い、得られた複合体を用いて結晶化を検討したところ、結晶が得られ、VinKとLdCPの複合体構造の決定に成功した。変異体解析により、相互作用に重要なアミノ酸残基を明らかにすることができた。
また、開発したパンテテインアミドプローブがAT以外の他の酵素にも適用可能かを調べるため、アデニル化酵素とCPのクロスリンク反応を検討した。ヒタチマイシン生合成に関わるアデニル化酵素HitBとCPであるHitDを用いたところ、クロスリンク反応が効率よく進行した。得られたHitB-HitD複合体の結晶化を検討したところ、結晶が得られ、その構造を決定することができた。このことから、パンテテインアミドプローブの有用性、汎用性を示すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度までにジソラゾール合成酵素におけるATとCPの複合体構造解析に成功し、今年度はビセニスタチン生合成に関わるVinK (AT) とCPの複合体構造解析に成功した。このように、当初の目的通り、複数のAT-CP複合体構造を決定することができたことから、順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

他のATとCPの複合体構造解析を検討する。また、得られた成果について、学会発表や論文発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

成果発表のため学会発表を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により学会が中止となり、次年度使用が生じた。学会発表のための旅費などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] An Engineered Aryl Acid Adenylation Domain with an Enlarged Substrate Binding Pocket2019

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa Fumihiro、Miyanaga Akimasa、Kitayama Hinano、Nakamura Shinya、Nakanishi Isao、Kudo Fumitaka、Eguchi Tadashi、Tanabe Genzoh
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: 58 ページ: 6906~6910

    • DOI

      10.1002/anie.201900318

    • 査読あり
  • [学会発表] ビセニスタチン生合成におけるアシル基転移酵素VinKとアシルキャリアタンパク質間の相互作用解析2020

    • 著者名/発表者名
      川田浩一、千菅太一、宮永顕正、工藤史貴、江口正
    • 学会等名
      日本農芸化学会2020年度大会
  • [学会発表] マクロラクタム抗生物質ヒタチマイシン生合成におけるアデニル化酵素とアシルキャリアプロテインの相互作用の解析2020

    • 著者名/発表者名
      栗原将平、宮永顕正、工藤史貴、江口正
    • 学会等名
      日本化学会第100春季年会

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公開日: 2021-01-27  

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