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2017 年度 実施状況報告書

植物防御応答を司る「香り」の配糖化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07750
研究機関静岡大学

研究代表者

大西 利幸  静岡大学, 農学部, 准教授 (60542165)

研究分担者 佐藤 浩平  静岡大学, 工学部, 助教 (30756705)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードモノテルペン / 配糖体 / 香気成分 / 酵素
研究実績の概要

環境ストレスに曝された植物が放散する「香り」は,植物間コミュニケーションに重要な役割を演じている。近年,植物が「香り」を取り込み,配糖化することで植物間の情報伝達を行っていることが報告された。しかし,植物が,大気を介した「香り」を「いつ」,「どこで」,「どのように」配糖化するのかは,未解明のままである。本研究課題「植物防御応答を司る「香り」の配糖化メカニズムの解明」は,チャ (茶) が放散する揮発性モノテルペン「ジオール」に着目し,重水素ラベル化したジオールを植物の環境防御応答のプローブとして活用し,①配糖体の時間的・空間的貯蔵の仕組み,②配糖化酵素の同定,③配糖体の生理生態学的意義を明らかにすることを目的とする。本研究を通して,「香り」の受容機構の一つである“配糖化反応”を分子レベルで解明することを目的とした。本年度は,三級テルペンアルコールを配糖化する単糖配糖化酵素の探索・同定を実施した。三級テルペンアルコールであるジオールやリナロールの配糖体を含むチャやイモなどをから目的酵素をクローニングし,ESTデータライブラリーと照合し,その部分配列を決定し,RACE法により全長cDNAを同定した。大腸菌異種発現系をもちいて目的酵素を抽出し,酵素活性試験を行った。酵素反応代謝産物を液体クロマトグラフ-質量分析装置で分析した結果,三級アルコールであるリナロール,ジオール,ホートリエノールを特異的に配糖化する糖転移酵素を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実施項目②ジオール配糖化酵素の同定を今年度中に実施することができた。これまで香気配糖化酵素は主として一級テルペンアルコールであるゲラニオールやネロールに対する活性が顕著に高かったが,植物に多く内生する三級テルペンアルコール配糖体の生合成解明に対して,本成果は一助となる。早期に実現できた要因の一つに,チャESTデータベースを構築したことが大きい。

今後の研究の推進方策

同定した三級テルペンアルコール配糖化酵素の時間的,空間的貯蔵の解析を遺伝子発現を消長を追跡しながら解析する。また傷害応答で生じるジオールの生合成酵素との共発現パターンの解析も実施することにより,香りの受容機構である配糖化反応を分子レベルで解明することで,植物の環境防御応答に関する新しい知見を集積する。

次年度使用額が生じた理由

新たな次世代シークエンサー分析に必要な分析費用および試薬代を計上していたが,従前に保持していたESTライブラリーを用いることで,目的遺伝子のクローニングおよび同定に成功したことが次年度使用額が生じた原因である。他の植物において第三級テルペンアルコール配糖化酵素を同定するための次世代シーケンサー分析の試薬代および分析費用に充てる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] The effects of gene disruption of Kre6-like proteins on the phenotype of β-glucan-producing Aureobasidium pullulans.2018

    • 著者名/発表者名
      Uchiyama H, Iwai A, Dohra H, Ohnishi T, Kato T, Park EY
    • 雑誌名

      Appl Microbiol Biotechnol

      巻: 102 ページ: 4467-4475

    • DOI

      doi:10.1007/s00253-018-8947-z

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Conversion of carlactone to carlactonoic acid is a conserved function of MAX1 homologs in strigolactone biosynthesis.2018

    • 著者名/発表者名
      Yoneyama K, Mori N, Sato T, Yoda A, Xie X, Okamoto M, Iwanaga M, Ohnishi T, Nishiwaki H, Asami T, Yokota T, Akiyama K, Yoneyama K, Nomura T.
    • 雑誌名

      New Phytol.

      巻: 218 ページ: 1522-1533

    • DOI

      10.1111/nph.15055

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TheirBiosynthesis, Localization and Ecological Roles.2017

    • 著者名/発表者名
      Yazaki K, Arimura GI, Ohnishi T.
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiol.

      巻: 58 ページ: 1615-1621

    • DOI

      10.1093/pcp/pcx123.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Occurrence of brassinosteroids in non-flowering land plants, liverwort, moss, lycophyte and fern.2017

    • 著者名/発表者名
      Yokota T, Ohnishi T, Shibata K, Asahina M, Nomura T, Fujita T, Ishizaki K, Kohchi T.
    • 雑誌名

      Phytochemistry

      巻: 136 ページ: 46-55

    • DOI

      10.1016/j.phytochem.2016.12.020

    • 査読あり
  • [学会発表] 植物の生長や化学防御に寄与する二次代謝産物の生合成研究2017

    • 著者名/発表者名
      大西利幸
    • 学会等名
      第35回日本植物細胞分子生物学会(さいたま)大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Volatile C13-norisoprenoid and monoterpene alcohols contribute sweet muscatel-like scent in Oolong tea “Oriental Beauty” manufactured by Camellia sinensis in response to attacks by insect herbivores2017

    • 著者名/発表者名
      Koujirou Totsuka, Naoya Sakai, Tsuyoshi Katsuno, Naoharu Watanabe, Toshiyuki Ohnishi
    • 学会等名
      The 13th International Meeting on Biosynthesis, Function and Synthetic Biology
    • 国際学会
  • [学会発表] Study on plant terpene volatile biosynthesis2017

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki Ohnishi
    • 学会等名
      2nd German-Japanese Research Symposiumat Technische Universitat Braunschweig
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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