研究課題
脂質蓄積異常変異体tar1の解析から、タンパク質リン酸化酵素TAR1が光合成活性を抑制し酢酸吸収を促進することで脂質・デンプン蓄積を制御するマスター制御因子であることが示された(梶川ら、2015)。2019年度にはTAR1のリン酸化標的候補をリン酸化プロテオーム解析により網羅的に同定し申請者を含むグループにより論文報告を行った(Shinkawaら、2019)。さらに無機炭素量が多く(空気が0.04%に対して2倍以上の二酸化炭素通気環境)窒素生物が欠乏したC/Nストレス環境でのtar1の表現型解析についても当論文において詳しく報告された。すなわち、TAR1は同ストレス環境下において光合成活性の低下とデンプン、中性脂質の適正な蓄積に必要であり、C/Nストレス下で誘導される異なる接合型細胞との交配による接合反応にも必要であることが示された。2018年度よりTAR1とは別のタンパク質リン酸化酵素についての変異体が、高脂質蓄積の表現型を示すことを見出しこの変異体の解析を進めた。その結果、このタンパク質リン酸化酵素はC/Nストレス下での光合成活性の低下と適正なレベルの脂質蓄積に必要であることがわかった。一方で、TAR1とは異なり、デンプン蓄積や接合については関与していないことが示された。またTAR1による標的アミノ酸を置換した変異型タンパク質を用いた相補実験から、このリン酸化酵素はTAR1によりリン酸化制御されることで機能し、細胞膜に局在することが示された。現在、この新奇リン酸化酵素とその変異体についての論文を作成中である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件)
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