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2018 年度 実施状況報告書

グリセロホスホコリンの代謝経路の解明,およびコリン供給体としての食資源利用

研究課題

研究課題/領域番号 17K07757
研究機関広島大学

研究代表者

矢中 規之  広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (70346526)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードゲノム編集 / GDE5 / コリン / グリセロホスホコリン
研究実績の概要

2017年度に引き続き,exon 11をloxPで挟んだ遺伝子座を持つGDE5 floxマウスの作出を行なった.guide RNA を改良し,PITCh法を用いることでexon 11領域の両端にloxP配列を有するマウスの樹立に成功した.肝実質細胞でCreリコンビナーゼを発現するAlbumin Cre (B6.Cg-Tg(Alb-cre)21Mgn/J)マウスを入手し,交配を行うことでAlb cre+/-, GDE5 flox/floxマウスを取得した.Alb cre+/-, GDE5 flox/floxマウス(肝臓特異的GDE5欠損マウス),および同腹の対照マウス(Alb cre-/-, GDE5 flox/flox)を用いて,肝臓におけるGDE5の発現をexon 11を含むmRNA解析,およびタンパク質解析した結果,GDE5遺伝子の発現量の低下、または消失を確認した.さらに肝臓特異的GDE5欠損マウスを正常食を用いて飼育を行い、肝臓内コリン代謝物濃度などをLCMS法によって解析を行った結果,GPCの有意な上昇が認られた.
さらに,実験室酵母と清酒酵母の交雑株のcholine、およびGPCの蓄積量を解析し,cholineやGPCの高蓄積酵母を探索するとともに、QTL解析によってcholine、およびGPCの高蓄積に寄与する遺伝子座の検索を行った.その結果,choline、およびGPCは量的形質を示すことが明らかとなり、その蓄積に寄与する遺伝子座をマイクロサテライトDNAマーカーとWinQTL Cartographerを用いて、cholineとGPCの蓄積量に関するQTL解析を行った結果,GPCの蓄積に関する有意なQTLが12番染色体上のDNAマーカーであるG1LTSNP3(600,019~822,592)近傍に見出された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

標的遺伝子であるGDE5遺伝子のexon 11をloxPで挟んだ遺伝子座を持つGDE5 floxマウスの作出を199mer ssDNAとともにCas9を受精卵に導入することで試みていたが,guide RNA の改良においてのみでは極めて困難であった.しかし,研究協力者である佐久間哲史博士(広島大)と中川佳子博士(熊本大)らとともにPITChシステムを用いることでGDE5 floxマウスの作出に成功し,Alb creマウスと交配することで肝臓特異的GDE5欠損マウスの樹立まで達成した.
さらに,実験室酵母と清酒酵母の交雑株のcholine、およびGPCの蓄積量の解析,およびマイクロサテライトDNAマーカーの解析を通して,GPCの蓄積に関する有意なQTLが12番染色体上に存在することを明らかにした.

今後の研究の推進方策

Alb cre+/-, GDE5 flox/floxマウス(肝臓特異的GDE5欠損マウス),および同腹の対照マウス(Alb cre-/-, GDE5 flox/flox)を用いて,肝臓内コリン,GPC濃度,およびリン脂質濃度の解析を行う.さらに,choline欠乏食や高脂肪食を摂取させた際の肝障害マーカー,血中脂質,血中コレステロール値についての生化学分析を行う.また,肝臓よりRNAを調製し,DNA microarray法を用いて網羅的な遺伝子発現解析を行う.さらに,骨格筋特異的GDE5欠損マウスの樹立にも着手する.
また,酵母のGPCの蓄積量に関するQTL解析結果で示されたG1LTSNP3(600,019~822,592)近傍において,Sake yeast genome database(SYGD)の情報を用いて、QTL領域に含まれる遺伝子を探索する.特にGPC、およびcholineの代謝に関与する既知遺伝子のみならず,open reading frameを有する未知遺伝子についてもその詳細を解析する.

次年度使用額が生じた理由

標的遺伝子であるGDE5遺伝子のexon 11をloxPで挟んだ遺伝子座を持つGDE5 floxマウスの作出についてPITChシステムを用ることで早期に達成したため.
計画における食餌条件のみならず,高脂肪食,あるいはコリン葉酸欠乏などの他飼育条件の動物実験に要する費用,さらに骨格筋特異的GDE5遺伝子欠損マウスの樹立などに使用する予定である.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Transgenic mice specifically expressing amphiregulin in white adipose tissue showed less adipose tissue mass.2018

    • 著者名/発表者名
      Yang B, Kumoto T, Arima T, Nakamura M, Sanada Y, Kumrungsee T, Sotomaru Y, Shimada M, Yanaka N.
    • 雑誌名

      Genes Cells.

      巻: 23 ページ: 136-145

    • DOI

      10.1111/gtc.12558.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Gender Difference and Dietary Supplemental Vitamin B6: Impact on Colon Luminal Environment.2018

    • 著者名/発表者名
      Nirmagustina DE, Yang Y, Kumrungsee T, Yanaka N, Kato N.
    • 雑誌名

      J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo).

      巻: 64 ページ: 116-128

    • DOI

      10.3177/jnsv.64.116.

  • [雑誌論文] Beneficial Effects of Dietary Tempeh Prepared with Rhizopus stolonifer on Liver Function in Rats Fed with a High-Fat Diet.2018

    • 著者名/発表者名
      Kameda T, Aoki H, Yang Y, Nirmagustina DE, Iwamoto A, Kumrungsee T, Kato N, Yanaka N.
    • 雑誌名

      J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo).

      巻: 64 ページ: 379-383.

    • DOI

      10.3177/jnsv.64.379.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The effects of tempe fermented with Rhizopus microsporus, Rhizopus oryzae, or Rhizopus stolonifer on the colonic luminal environment in rats2018

    • 著者名/発表者名
      Yang YS, Kameda T, Aoki H, Nirmagustina DE, Iwamoto A, Kato N, Yanaka N, Okazaki Y, Kumrungsee T.
    • 雑誌名

      J Funct Foods

      巻: 49 ページ: 162-167

    • DOI

      10.1016/j.jff.2018.08.017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Production of isoflavone aglycone-enriched tempeh by Rhizopus stolonifer.2018

    • 著者名/発表者名
      Kameda T, Aoki H, Yanaka N, Kumrungsee T, Kato N.
    • 雑誌名

      Food. Sci. Technol. Res.

      巻: 24 ページ: 493-499

    • DOI

      10.3136/fstr.24.493

    • 査読あり
  • [学会発表] Vitamin B6 deficiency impairs imidazole homeostasis and energy metabolism in rat heart.2018

    • 著者名/発表者名
      Thanutchaporn Kumrungsee, Dwi Eva Nirmagustina, Noriyuki Yanaka, Norihisa Kato.
    • 学会等名
      Nutrition 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] Vitamin B6: an underestimated compound regulating homeostasis of heart-protective peptides.2018

    • 著者名/発表者名
      Thanutchaporn Kumrungsee, Dwi Eva Nirmagustina, Noriyuki Yanaka, Norihisa Kato.
    • 学会等名
      The First International Conference of “Innovation of Functional Foods in Asia (IFFA).
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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