研究課題/領域番号 |
17K07761
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉永 壮佐 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 講師 (00448515)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 匂い / フェロモン / 脳・神経 / MRI / 嗅覚 |
研究実績の概要 |
多くの動物は、種の保存や生命の危機回避において、嗅覚を通じて外界から様々な情報を得ている。フェロモンや匂い物質といった化学物質がその情報の担い手であり、情動や行動、生理的変化を引き起こす。研究代表者らは、連携研究者との共同研究のもと、メスマウスの性行動を誘発するペプチド性フェロモンESP1について、物質同定、受容体、性行動に至る一連の構造機能解析を展開してきた。本研究は、これらの知見を発展させ、性行動を誘引するフェロモンや匂い物質に応答する嗅神経ネットワークにおいて、活性化する脳領域、および、その機能的なつながりをMRIにより可視化することを目的とする。 安静時機能的 MRI(rsfMRI: resting state functional MRI)においては、刺激やタスクに応じた一過性の脳活動を計測する通常の機能的 MRI(fMRI)と比較して、生体の生理状態をより長期間安定に維持した撮像が要求される。動物の体温維持のため、MRIボア内における動物の固定ベッド周辺の保温環境の改善を行った。さらに、コンピュータ制御の嗅覚刺激装置を導入し、撮像に対する嗅覚刺激のタイミングと暴露時間の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
rsfMRI の基盤となる撮像・解析条件の検討を進めることができた。しかしながら、マウスの嗅覚刺激下における嗅神経ネットワークを捉えるまでは至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に確立したrsfMRIの撮像・解析条件を最適化し、嗅覚刺激無し、および、複数種の嗅覚刺激有りの条件下における嗅神経ネットワークを捉えて比較し、物質ごとの相違点・類似点を比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)前年度、撮像・解析条件の検討に集中したため、多種・多量の試料を必要とせず、高額な消耗品の使用が抑えられたことが、主たる原因である。次年度以降に、各種検討のための試料調製に使用予定である。
(使用計画)1.設備品費:購入予定はない。試料調製、MRI測定・解析等、研究に必要な施設・設備は、研究代表者あるいは連携研究者の所属研究機関内に全て備わっている。2.消耗品費:実験動物(マウス)の他、匂い物質・フェロモン・麻酔の試薬、ペプチド性フェロモン調製のための培養・精製試薬、プラスチック器具などを計上する。3.旅費:国内学会および国際学会において研究成果発表を行う。東京大学において研究打ち合せを行う。4.謝金:英文の校閲費を計上する。なお、各費目において、90%を超えるものはない。
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