研究課題
酸素は多くの生物の生存に必須であるが、その一部は代謝の過程で活性酸素へと変わる。活性酸素は老化や疾病などの生命機能の劣化を引き起こす一方で、生命機能に有用な役割を果たすことも明らかになりつつある。本研究は、活性酸素の制御機構を解析することで、老化の調節機構を明らかにすることを目標とする。これまでの研究で同定した線虫Caenorhabditis elegansのoxy-4、oxy-5、rad-8変異体/遺伝子の解析を行った。C. elegansを用いて、これら遺伝子の過剰発現体を取得した。寿命延長や活性酸素抵抗性をを示す発現株も得られたが、得られた株の間で表現型に差がみられた。現在、その理由を調べている。活性酸素高感受性の突然変異体oxy-7(以前は、oxy-8と表記)の原因遺伝子の同定に成功した。oxy-7は21%酸素下では寿命が短縮するが、1%酸素下ではその短縮が軽減された。また、oxy-7では野生型と比較し、活性酸素生成量が上昇していることを見出した。これらのことより、oxy-7の活性酸素高感受性は、細胞内の活性酸素生成量の増大に起因すると考えた。OXY-7は金属イオンのトランスポータ様構造を有しており、これまでに活性酸素との関係は報告されていない。興味深いことに、oxy-7はいくつかの金属イオンに高い感受性を示すことを見出した。新しい活性酸素調節機構の解明につながることを期待している。また、oxy-6の原因遺伝子の同定にも成功した。oxy-6は機能未知の遺伝子をコードしており、その機能解析に興味が待たれる。これらに加え、活性酸素ストレスを軽減する新規物資を、インド亜大陸の伝統医学であるアーユルヴェーダで使用される薬草の抽出液より探索した。ヒト培養細胞を活性酸素放出剤であるパラコートを使用した簡便なアッセイ系を構築し、HPLCを用いて活性成分を精製している。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
Experimental Cell Research
巻: 390 ページ: 111927~111927
10.1016/j.yexcr.2020.111927
Journal of Cosmetic Dermatology
巻: - ページ: -
10.1111/jocd.13355
FEBS Open Bio
巻: 10 ページ: 237~250
10.1002/2211-5463.12775
Journal of Integrative Medicine
巻: 17 ページ: 141~146
10.1016/j.joim.2019.01.004
Mechanisms of Ageing and Development
巻: 178 ページ: 25~32
10.1016/j.mad.2019.01.001
http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~lifeenv/index.php?id=26