研究課題/領域番号 |
17K07767
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
赤澤 真一 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (60379550)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ミミズ / 形質転換法 / モデル生物 / バイオ医薬品 / 物質生産 |
研究実績の概要 |
【研究概要】バイオ医薬品の高コスト体質の打破のために,次世代型物質生産宿主として低コスト生産が可能な動植物個体を活用した生産が研究されている.しかしながら研究の進展には,遺伝子導入・発現システム等の開発及びゲノムやcDNA解析が必須である事から宿主が限定され,現在も新規宿主探索・開発が行われている.そこで,我々はOECD(経済協力開発機構)が毒性試験モデルとして認定したミミズに着目し,シーケンス解析により遺伝子情報を蓄積.さらに,低コスト化に貢献するタンパク質分泌生産が可能である事を示し,根幹技術である個体の形質転換に世界で初めて成功(特願2014-212692.2014年.JSPS科研費挑戦的萌芽研究(15K14713)成果)した.本格的な宿主開発が可能となった事から,本研究では形質転換効率の向上に取組み,ミミズの卵に遺伝子導入する事により,バイオ医薬品を恒常的に生産出来る“スーパーミミズ”の創生を目指した.平成29年度は,①研究の進展に必須となるゲノム情報を解析し,②形質転換効率の向上,③頭部断片を用いた一過性発現系の構築,④完全な組換え体創製に必須となる卵培養方法の検討を行った. 【結果】ゲノム情報データベースが完成し,様々な遺伝子解析が可能となり,ミミズにおいて強力に発現するプロモーターの探索が可能となった.また,形質転換効率は21%にまで向上した.頭部断片を用いた一過性発現系の構築は現在も実施中である.卵培養法に関しては,効率の良い産卵条件を明らかにすると共に,砂培地を用いて卵胞の培養に成功した. 【業績】招待講演2件,国際会議での発表1件,学会発表2件,展示会(イノベーションジャパン)での発表1件実施した.さらに,社会的・学問的重要性が高く時事を得た優秀な研究として2017年9月に行われた日本生物工学会にて大会トピックスに選定され,国際会議ではポスター賞を受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に示した③頭部断片を用いた一過性発現系の構築は,当初から時間がかかると予想していたため,③以外を集中的に実施した結果,③以外ほぼ予定通り進捗した.形質転換効率が大幅に向上した事から,頭部断片を用いた一過性発現系の構築も平成30年度は進展する事が予想される.また,一部次年度の予定であったヒトタンパク質発現系の構築にも既に着手しているため,基本的には順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,改良した形質転換法で,頭部一過性発現系の構築を引き続き試みると共に,ヒトタンパク質発現系に取り組む.さらに,卵胞の培養には成功しているが,卵本体の培養は着手していなかったため,今年度は卵胞を剥ぎ取った状態で負荷させることが可能化検討する.また,ゲノムが解析できたことから,派生テーマとしてプロモーター解析を今後推進できるように準備を進める.
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備考 |
招待講演:全国高専フォーラムオーガナイズドセッション「KOSENバイオイノベーションネットワーク」.ミミズの可能性を追求する!~バイオマス資化から医薬品生産まで~.2017年8月22日.2.生化学若い研究者の会北陸支部・夏の研究セミナー2017.ミミズで“ものづくり”~ミミズの多様な機能性と可能性~.2017年7月15日. 受賞:学会発表2件目がポスター賞.学会発表3件目が大会トピックスに選定.
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