研究実績の概要 |
イネジャポニカ種 (Oryza sativa L. ssp. japonica) は非タンパク性アミノ酸(R)-β-tyrosineを産生すると我々は明らかにしている. しかし,その生理的・生態的意義は不明である.二次代謝物には,その機能に応じて蓄積量が時間的に変動する場合がある.そこで,本研究では (R)-β-tyrosine蓄積量の生育段階での変動および日周変動を調べた.
イネ(品種日本晴)の地上部を凍結破砕し,その80% MeOH 抽出液をアミノ酸誘導体化試薬AQCと反応させてLC/MS 分析に供した.はじめに,各生育段階(第3, 5, 7 葉完全展開期)の蓄積量を比較すると,第5 葉完全展開期以降に (R)-β-tyrosineが蓄積した.また,第5 葉完全展開期イネでは,第5 葉にもっとも多く (R)-β-tyrosine が蓄積した.次に,第5 葉完全展開期イネにおける (R)-β-tyrosine蓄積量の日周変動を調べると,他のアミノ酸とは異なり,一定であった. (R)-β-tyrosine蓄積量の動態は他のアミノ酸とは異なることを明らかにした.
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