研究課題/領域番号 |
17K07773
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
佐藤 正資 香川大学, 農学部, 教授 (20263890)
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研究分担者 |
吉原 明秀 香川大学, 国際希少糖研究教育機構, 准教授 (40548765)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 希少糖 / D-アラビノース / 線虫 / C. elegans |
研究実績の概要 |
人や家畜の寄生線虫症 治療薬(抗線虫薬)に対する薬剤耐性虫の出現が深刻な問題となっている。そのため,従来の抗線虫薬とは全く異なる作用メカニズムを持つ薬剤の開発が望まれている。申請者らは,希少糖D-アラビノースが,線虫C. elegansの成長を抑制することを見いだした。本研究では「D-アラビノースが線虫体内でリン酸化され,ペントースリン酸経路のリボースリン酸イソメラーゼ(RPI)を阻害する」という作用メカニズム仮説を検証し,その阻害様式の詳細を解析する。また,D-アラビノースの誘導体を合成し,RPI阻害活性の向上を試みる。
2017年度までの成果で,D-アラビノース-5-リン酸が線虫RPIに対して阻害活性をもつことを明らかにし,上記の仮説が正しいことを示した。2018年度は,さらにD-アラビノース-5-リン酸のRPI阻害活性の詳細(阻害様式,Ki値など)を明らかにするため,それまで市販試薬に依存していた阻害剤 D-アラビノース-5リン酸を充分な量を供給する必要があった。そこで,その酵素合成法の確立を試みた。結果的に, 単糖とATP,ホスホエノールピルビン酸を原料とし,酵素としてヘキソキナーゼとピルビン酸キナーゼを共役させた高収率の単糖リン酸化法を確立した。この方法は,他の希少糖にも有効な方法であり,今後の希少糖作用メカニズム解明やそれらの代謝解析に役立つと考えられる。また,今年度,複数のD-アラビノース誘導体を合成したので,その生物活性の検証をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希少糖代謝産物であるD-アラビノース-5-リン酸が,線虫の糖代謝酵素を阻害することをすでに明かにしている。現在,その酵素阻害メカニズムの詳細を解析しており,おおむね予想の進行状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに,D-アラビノース代謝産物の酵素阻害メカニズムの詳細を解析を進める。 また,D-アラビノース類縁体の合成も同時に進めており,生物有機化学的なアプローチから阻害メカニズムを解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
D-アラビノース誘導体の合成実験に若干,進行の遅れがあり,2019年度にその実験を行なうことになったため。
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