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2017 年度 実施状況報告書

植物の高機能化を志向した昆虫由来エリシターとその情報伝達系の物質的基盤

研究課題

研究課題/領域番号 17K07774
研究機関秋田県立大学

研究代表者

野下 浩二  秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (40423008)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード情報分子 / シグナル伝達 / 植物ホルモン / ジャスモン酸 / エリシター / オオイタドリ
研究実績の概要

植物は昆虫食害に対して様々な防御応答を示す.研究代表者は,その一例として, マメコガネに食害されたオオイタドリが,アミノ酸由来のニトリルやオシメンなど揮発成分を生産・放出することを見出している.この現象はマメコガネ由来のエリシターがオオイタドリに作用し,オオイタドリのニトリル生産系など防御応答を活性化すると考えられる.そこで,まず,マメコガネからエリシターを同定することを目的に研究を進めた.今年度は,マメコガネから得た抽出物をゲル濾過とイオン交換クロマトグラフィーを用いて分画し,オオイタドリ葉を分画液に浸し,揮発成分の放出量をエリシター活性の指標として,活性物質の精製を進めた.これまでにタンパク質と低分子のふたつの画分にエリシター活性を確認していた.低分子画分については,エリシター活性の見られた塩基性画分を分析したところ,プロリンやフェニルアラニン,チロシン,ヒスチジンなど複数のアミノ酸が検出された.これらアミノ酸は活性がほとんどない酸性画分からも検出された.一方,酸性画分には含まれず,塩基性画分に特有の成分もひとつ検出された.この成分をエリシターの候補としてさらに精製を進めている.エリシター活性を有するもうひとつのタンパク質画分については,硫安分画で分けたところ,60~80% に活性が局在することはわかった.粗抽出液に含まれる大半のタンパク質は 0~60% 画分に分かれるため,硫安分画は精製の初期段階では有用と思われるが,エリシター活性を有するタンパク質は失活しやすいと考えられ,現在,別の精製方法についても検討中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エリシター活性を有するタンパク質は失活しやすいと考えられ,今後,バッファーや精製方法を検討していく必要があることがわかった.活性本体の同定には至っていないものの,これではうまくいかないという部分を消していっている状況にあり,必ずしも研究が遅れているわけでもない.一方,エリシター活性を有する低分子画分については,含まれる成分分析を進めるなど一定の進歩が見られた.こちらは失活の心配が今のところなく,比較的順調に研究が進んでいると考えている.

今後の研究の推進方策

マメコガネ由来のエリシター活性を有する物質の精製を進めている.今後は,エリシターを単離・精製し,NMRや質量分析などを用いて,物質同定を進める予定である.エリシター活性を持つ塩基性画分からはアミノ酸が複数検出された.活性がほとんどない酸性画分からも同様にアミノ酸が検出されたため,アミノ酸がエリシターの本体ではないと考えられる.しかしながら,近年,アミノ酸の一種であるヒスチジンが植物の病害抵抗性を高めることが報告されている.病害と昆虫食害の違いはあるものの,各アミノ酸がエリシター活性を有するかも調べることを計画している.

次年度使用額が生じた理由

当初,学会発表のため旅費を計上していたが,発表に適した学会とスケジュールが合わず,発表を見送ったため,次年度使用が生じた.その分は,次年度に成果発表のために使用する予定である.

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公開日: 2018-12-17  

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