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2020 年度 実施状況報告書

穏和な酸化およびラジカルカップリングに基づく新規な環境調和型の複素環合成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K07776
研究機関大阪府立大学

研究代表者

谷森 紳治  大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50207198)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワードヨウ素 / プロリン / ワンポット合成 / ラジカル反応 / 遷移金属フリー / 含窒素複素環化合物 / ベンゾオキサゾール / キナゾリノン
研究実績の概要

ヨウ素分子を反応剤に利用した、N-アリル-2-ベンゾオキサゾールアミンのワンポット合成法を開発した(Nariki, H.; Miyamura, T.; Tanimori, S. et al. SynOpen, 2020, 4, 99-106.)。2ーアミノフェノールとフェニルイソチオシアナートからチオウレア体を合成し、モデル基質として環化条件を検討した。その結果、2当量のヨウ素を用い、ピリジン存在下、エタノール中室温で24時間反応させることにより、目的としたN-アリル-2-ベンゾオキサゾールアミンが85%と良い収率で生成することを見出した。本反応をワンポットで行ったところ、ピリジンを2当量用いることで、室温下1時間で反応が完結し、85%の収率で目的物が生成した。グラムスケール合成を検討したところ、75%と効率性を損なうことはなかった。様々な置換機を芳香環上に有する原料に適用し、17種類の新規化合物を含むN-アリル-2-ベンゾオキサゾールアミンを合成し、一般性を証明した。従来法を比較し、より穏和な条件下効率の良い合成法となった。
プロリンを触媒に用いた1ー置換ー4ーキナゾリノンの遷移金属を用いない合成法を見出した(Tokumoto, K.; Tanimori, S. et al. ChemistrySelect 2021, 6, 1533-1540.)。2-ブロモベンズアミドとフェニルイソシアナートからベンイルウレアを合成し基質とした。種々条件検討の結果、DMSO中2当量のKOBu-tの存在下、40モル%のプロリンを用いた時84%の収率で目的の環化体が得られた。ラジカル捕捉剤共存下のコントロール実験から、本反応はラジカル経路が主経路であることを証明した。本条件を適用し、様々な置換機を有する原料から多様なベンイルウレアをいずれも良い収率で合成し、一般性を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画していたヨウ素分子並びにプロリンを触媒に用いる穏和な条件下、環境調和性の高い合成法が開発できたため、概ね順調であると判断した。

今後の研究の推進方策

ヨウ素の使用量を問題視している。現在反応を完結するためには、2当量を要しているが、安価な酸化剤の共存下、触媒下を今後検討する。
また、触媒としてのプロリンの使用量が、40モル%と、触媒量としては多い部類に属する。このため、塩基、溶媒等を再検討し、20モル%以下を達成したい。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は、コロナ禍のため研究の遂行ができない期間があったため、予算執行に変更が生じた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] A Concise Enantiodivergent Synthesis of Equol2021

    • 著者名/発表者名
      Uemura, Takahito, Saito, Yusuke, Sonoda, Motohiro, Tanimori, Shinji
    • 雑誌名

      Synlett

      巻: 32 ページ: 693-696

    • DOI

      10.1055/a-1303-9935

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Proline‐catalyzed Transition‐Metal‐free Access to 1‐Substituted‐4‐Quinazolinones2021

    • 著者名/発表者名
      Kento Tokumoto, Kouhei Makiyama, Motohiro Sonoda, Shinji Tanimori
    • 雑誌名

      ChemistrySelect

      巻: 6 ページ: 1533-1540

    • DOI

      10.1002/slct.202100069

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Iodine-Mediated Facile One-Pot Access to N-Aryl-2-benzoxazolamines2020

    • 著者名/発表者名
      Haruna Nariki, Takuya Miyamura, Daiki Matsui, Motohiro Sonoda, Shinji Tanimori
    • 雑誌名

      SynOpen

      巻: 4 ページ: 99-106

    • DOI

      10.1055/s-0040-1705982

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] L-Proline を触媒に用いたキナゾリノン類縁体の環境調 和型合成法の開発2021

    • 著者名/発表者名
      槙山 浩平,徳本 健人,園田 素啓,谷森 紳治
    • 学会等名
      日本農芸化学会2021年度(令和3年度)大会
  • [学会発表] α - 不斉アリール化反応を利用したequol 誘導体の合成2021

    • 著者名/発表者名
      植村 隆人,福井 菜月,園田 素啓,谷森 紳治
    • 学会等名
      日本農芸化学会2021年度(令和3年度)大会
  • [学会発表] 超原子価ヨウ素を用いたチオシアン酸エナミノン誘導体及び 2-イミノチアゾリン誘 導体の合成2021

    • 著者名/発表者名
      松井大樹,園田素啓, 谷森紳治
    • 学会等名
      日本農薬学会第 46 回大会
  • [学会発表] 大豆イソフラボン代謝産物Equol両エナンチオマーの選択的合成2020

    • 著者名/発表者名
      植村隆人、斎藤雄輔、園田素啓、谷森紳治
    • 学会等名
      第64回 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会
  • [学会発表] 脂環式ムスクhekvetolideの不斉合成研究と香気評価2020

    • 著者名/発表者名
      安井航佑、吉田真夕、園田素啓、宮里博成、杉本圭一郎、谷森紳治
    • 学会等名
      第64回 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会

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公開日: 2021-12-27  

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