研究実績の概要 |
ヨウ素分子を反応剤に利用した、N-アリル-2-ベンゾオキサゾールアミンのワンポット合成法を開発した(Nariki, H.; Miyamura, T.; Tanimori, S. et al. SynOpen, 2020, 4, 99-106.)。2ーアミノフェノールとフェニルイソチオシアナートからチオウレア体を合成し、モデル基質として環化条件を検討した。その結果、2当量のヨウ素を用い、ピリジン存在下、エタノール中室温で24時間反応させることにより、目的としたN-アリル-2-ベンゾオキサゾールアミンが85%と良い収率で生成することを見出した。本反応をワンポットで行ったところ、ピリジンを2当量用いることで、室温下1時間で反応が完結し、85%の収率で目的物が生成した。グラムスケール合成を検討したところ、75%と効率性を損なうことはなかった。様々な置換機を芳香環上に有する原料に適用し、17種類の新規化合物を含むN-アリル-2-ベンゾオキサゾールアミンを合成し、一般性を証明した。従来法を比較し、より穏和な条件下効率の良い合成法となった。 プロリンを触媒に用いた1ー置換ー4ーキナゾリノンの遷移金属を用いない合成法を見出した(Tokumoto, K.; Tanimori, S. et al. ChemistrySelect 2021, 6, 1533-1540.)。2-ブロモベンズアミドとフェニルイソシアナートからベンイルウレアを合成し基質とした。種々条件検討の結果、DMSO中2当量のKOBu-tの存在下、40モル%のプロリンを用いた時84%の収率で目的の環化体が得られた。ラジカル捕捉剤共存下のコントロール実験から、本反応はラジカル経路が主経路であることを証明した。本条件を適用し、様々な置換機を有する原料から多様なベンイルウレアをいずれも良い収率で合成し、一般性を示した。
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