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2017 年度 実施状況報告書

培養細胞に損傷活性を示す微生物由来新規生物活性タンパク質の発見と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K07780
研究機関崇城大学

研究代表者

浴野 圭輔  崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (30310030)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードBacillus thuringiensis / parasporin
研究実績の概要

微生物殺虫剤として多くの基礎研究が行われてきたBacillus thuringiensis(BT)が産生する新たな生物活性タンパク質として、培養ガン細胞に対して損傷活性を示すパラスポリンが発見されている。パラスポリンはBT特有の胞子形成時につくられる結晶性タンパク質中に産生される。本研究では、菌体外に分泌生産される細胞損傷タンパク質が存在することがわかり、その諸性質を明らかにすることを目的とする。BT A297株の培養上清の添加により、ヒト白血病細胞MOLT-4は膨潤し、死滅する。顕微鏡観察下で容易に生死を判別できることから、その形態変化を指標に目的タンパク質の精製を行った。各種クロマトグラフィーによる精製の結果、約60kDaのメジャータンパク質と、わずかに小さいマイナータンパク質にまで部分精製できたことを確認した。本サンプルを1μg/mlとなるようにMOLT-4に添加し、3時間インキュベートした。Cell Counting Kit-8を用いて定量的に生細胞数を解析した結果から、約47%の細胞が死滅させる活性があることがわかった。精製を繰り返した結果、その後の解析に十分な精製サンプルを取得することが難しいと予想されたため、電気泳動後の目的タンパク質をペプチドマスフィンガープリンティングよって特定することとした。それに先立って、次世代シークエンサーによるゲノム配列分析を行った。結果、電気泳動的にメジャーなタンパク質はゲノム配列上の遺伝子A297-01-00947であると特定した。本遺伝子を大腸菌pETベクターによる異種発現系を構築した。しかしながら、可溶性タンパク質として目的タンパク質を取得することができなかった。Bacillus subtilisを宿主とした発現系の構築を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

MOLT-4に対する細胞損傷活性を指標に精製を行ったが、最終精製まで至らなかった。電気泳動的に2つのタンパク質が存在し、電気泳動と細胞損傷活性とを確認しながら精製を進めた結果、約60kDaのタンパク質が目的タンパク質であると推察し、ゲノム配列から遺伝子を同定した。現在のところ発現系の構築が確立できず、特定したタンパク質が目的のものであることが今のところ確定できていない。

今後の研究の推進方策

今後、B. subtilisによる発現系の構築を行い、発現タンパク質の活性を確認すると共に再度培養上清からの精製を試み、目的タンパク質の確定を行う。これまでの結果から60kDaのタンパク質とそれよりもやや分子量の小さなタンパク質の2種類が活性画分に存在することから、このたんぱく質の同定も並行して行う。まずは、目的タンパク質を確定し、発現系を構築する。その後、構築した発現系を用いて、遺伝子工学的手法を用いてアミノ酸置換変異体を作成し、細胞損傷活性との相関を解析することで、活性に必要なアミノ酸の特定や細胞損傷作用機序解明への手がかりを探索する。
細胞損傷機構に関しては、Annexin Vなどの蛍光プローブを利用する。スタウロスポリンやトリトンX-100などの添加による細胞損傷活性とを比較し、細胞損傷機構を解析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

購入した試薬が予定より若干安かったため。次年度消耗品費として使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Cloning, Purification, and Characterization of Tripeptidyl Peptidase from Streptomyces herbaricolor TY-212018

    • 著者名/発表者名
      Ekino K, Yonei S, Oyama H, Oka T, Nomura Y, Shin T
    • 雑誌名

      Applied Biochemistry and Biotechnology

      巻: 184 ページ: 239-252

    • DOI

      10.1007/s12010-017-2547-8

    • 査読あり
  • [学会発表] Bacillus subtilis NBRC13719由来抗菌ペプチドの解析2017

    • 著者名/発表者名
      前山 諒、岡 拓二、原島 俊、浴野圭輔
    • 学会等名
      第24回日本生物工学会九州支部沖縄大会

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公開日: 2018-12-17  

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