研究実績の概要 |
平成29年度には異種抗原型であるN-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)含有糖鎖プローブの合成を、平成30年度にはNeu5Gc含有糖鎖プローブを粒子表面に固定化することで糖鎖微粒子の合成を達成してきた。さらに、昨年度はそれらを利用することで馬インフルエンザウイルスの新たな検出感度向上技術の確立を進めてきた。最終年度である令和元年度は、これまで確立した技術をトリやヒトなど他の宿主に感染するインフルエンザウイルスに応用することでテーラーメイド型インフルエンザウイルス吸着剤の構築を実施した。具体的には、N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)をα2,3結合(Neu5Acα2,3Galβ1,4GlcNAc:トリ型)やα2,6結合(Neu5Acα2,6Galβ1,4GlcNAc:ヒト型)で有するシアロ糖鎖ポリペプチドを合成後、疎水基としてデシル基を30~50%の割合で導入したシアロ糖鎖プローブを調製した。続いて、本シアロ糖鎖プローブをへキシル基で覆われた粒子表面に疎水相互作用を用いて固定化することで、各宿主に対応したシアロ糖鎖微粒子を合成した。さらに、これまで合成した種々の糖鎖プローブを96穴のマキシソーププレートに対して固定化を行うことで、インフルエンザウイルス表面ヘマグルチニンの結合能評価等に使用可能なELISA分析用プレートの作製にも成功した。 本年度はさらに、Neu5Gc含有糖鎖プローブが糖鎖抗体作製のための人工免疫抗原となりうるかについても調査を行い、新たな知見を得ることに成功した。
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