研究課題
代謝阻害化合物のChemProteoBase解析、及び、解析システムの構築:2次元電気泳動を用いたプロテオーム解析に基づくChemProteoBaseを発展させるために、解糖系やTCAサイクル、アミノ酸代謝系、脂質代謝系などがんの代謝阻害剤を含む標的既知の阻害剤について2D-DIGEを用いてプロテオーム解析を行いデータベースに登録した。また、その解析過程で、新規化合物についてChemProteoBase解析を行なった結果、作用標的につながる結果が得られた(Angew Chem Int Ed Engl 2017, J Antibiot 2017)。HeLa細胞の2次元電気泳動イメージ上のスポットと同定情報を整理しマッピングすることによって、代謝関連タンパク質スポットの発現量を迅速に抽出し、定量的に・グラフィカルに比較するシステムを構築する基盤を作成した。既知化合物を用いてプロテオーム解析を行い、そのデータを用いて構築しているシステムを用いて解析を行ったところ、今まで解析を行った化合物とは異なる構造を持つ鉄のキレーターでも、解糖系のたんぱく質スポットの発現上昇が確認された。エネルギー代謝の中心的な経路である解糖系に作用する化合物、並びに、TCAサイクルに作用する化合物(ミトコンドリア作用薬など)のデータをモデルにしてシステム開発を行った。それに加え、システムの汎用性を高めるために、他の細胞種での解析についても検討し、2次元電気泳動を用いたプロテオーム解析の系の有用性を示した(ACS Synth Biol 2017)。
1: 当初の計画以上に進展している
作用標的の明らかな既知物質を用いた解析を行うことによって、ChemProteoBaseのデータベースの拡張は順調に進んでいる。データベースの収容データが増えることによって、推測可能な標的の数が増えることが期待される。また、本解析系を用いて、新規化合物の標的の解析も徐々に進みつつある。同定済みのスポットについての整理も進み、システムの基盤が整い、それがシステム構築につながると考えられる。以前からの共同研究が、本解析系を用いた幾つかの成果に結びついたこと(Angew Chem Int Ed Engl 2017, J Antibiot 2017)も、現行システムを改良することによって、化合物の分子標的解析への精度向上が期待出来ることを示している。
1) 引き続きChemProteoBaseシステムの改良のために、データベース拡張を行う。代謝関連化合物に加え、関連が予想される化合物についてプロテオーム解析を行う。2) スポットの同定済みのデータ、並びに、1で得られた解析データを基に、代謝関連タンパク質スポットの発現量を迅速に抽出し、定量的に・グラフィカルに比較するシステムを構築する。3) 構築したシステムを用いて、既知化合物、並びに、スクリーニング系で得られた新規化合物の解析を行い、化合物の標的を推測し、検証実験を行うことによって系の確からしさを示す。
年度末に機械が故障して、次年度の予算と合わせて修理に使用するため。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Angew Chem Int Ed Engl
巻: 56 ページ: 8153~8157
10.1002/anie.201703738
J Antibiot
巻: 70 ページ: 429~434
10.1038/ja.2016.99
ACS Synthetic Biology
巻: 6 ページ: 2339~2349
10.1021/acssynbio.7b00249