研究実績の概要 |
代謝阻害化合物のChemProteoBase解析、及び、解析システムの構築: 昨年度に引き続き2次元電気泳動を用いたプロテオーム解析に基づくChemProteoBaseの精度向上のためにデータベス拡張を行った。昨年度構築したHeLa細胞の2次元電気泳動イメージ上のスポットと同定情報を整理しマッピングして代謝関連タンパク質スポットの発現量を迅速に抽出し、定量的比較するシステムを用いて、スクリーニングで得られた化合物解析を行った。NPD2381は癌幹細胞様細胞を用いたセルベースの薬物スクリーニングによって取得された化合物であるが、ChemProteoBaseの拡張システムを用いて、NPD2381がセリン合成経路内の酵素の発現量を増加させることを見出し、ミドコンドリアを標的とする新規な選択的癌幹病抑制剤であることが示唆された(FEBS Lett, 593:763-776, 2019)。また、神経細胞の突起伸長作用のある新規化合物の解析では、ChemProteoBaseプロファイリングにより小胞体ストレスとの関与が示された(Mol Pharm, 16:1423-1432, 2019)。また、光親和型化合物ビーズを用いた、結合たんぱく質データベースを構築することによって、結合たんぱく質の探索を加速するシステムを作成して、それを利用して癌関連線維芽細胞の遊走阻害剤の関連因子の同定を行った(J Biol. Chem., 294:2988-2996, 2019)。このほか、ChemProteoBaseの手法についてMethods and Protocols, Methods in Molecular Biology, (1888:127-139, 2019) にまとめた。
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