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2018 年度 実施状況報告書

トランスサイレチンに起因するアミロイド形成を阻害する食品機能成分の抗老化作用

研究課題

研究課題/領域番号 17K07791
研究機関広島大学

研究代表者

松原 主典  広島大学, 教育学研究科, 准教授 (90254565)

研究分担者 味八木 茂  広島大学, 病院(医), 講師 (10392490)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード食品機能成分 / トランスサイレチン / アミロイド
研究実績の概要

タンパク質の恒常性の破綻は老化の要因になる。例えば、変性タンパク質の除去が不十分で蓄積されていくと不溶性のアミロイドを形成し、臓器の機能低下をもたらす。本研究では、アミロイド形成タンパク質の一つで老化の原因にもなるトランスサイレチン(transthyretin: TTR)の安定化作用を有する食品機能成分の探索とその抗老化効果について検討を進めている。
本年度はTTR安定化効果を示した食品機能成分の老化促進マウスへの長期投与を行い、その効果を検証した。検討した大豆ポリフェノールでは、投与期間中の行動科学試験では明確な有効性は見出せなかった。一方、外観の老化度評価では一定の老化抑制効果が見られた。また、体重の維持効果もみられたことから、骨機能の維持にも有効である可能性が示唆された。1年間の投与を終え、脳などの組織でのTTR沈着やそれに伴う炎症について検討を進めている。
また、他の食品機能成分で老化促進マウスへの投与実験で脳機能保護効果を示したものについて、脳組織でのTTR沈着や炎症状態について免疫組織化学解析を行った。その結果、TTR沈着が抑制され、炎症細胞であるミクログリア細胞の活性化が抑制されていることが明らかとなった。従って、加齢に伴うTTRの沈着を抑制することができる食品機能成分の摂取は、脳機能保護に繋がる可能性がある。また、この成分は変形性関節症に対しても有効である可能性が示唆された。
さらに、ハーブに含まれるTTR安定化成分のマウスへの短期投与によって抗うつ効果の可能性を見出したが、海馬でのTTR遺伝子のmRNA合成の上昇は確認できなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TTR安定化作用を持つ食品機能成分を老化促進マウスに投与し、一定の効果を見出すことができた。また、老化に伴う脳機能低下を抑制する食品機能成分が脳でのTTR沈着を抑制し、それが脳での炎症を抑制していることが確認された。このことは、TTR安定化作用を持つ食品機能成分が老化に伴う脳機能低下に有効である可能性を示すものである。一方、関係性はまだ明確でないが、変形性関節症の進行も抑制されていたことから、脳機能だけでなく運動器の保護にも有効である可能性が示唆された。また、短期投与で抗うつ効果を示すTTR安定化成分も見出すことができた。
以上の研究成果はほぼ当初の研究計画どおりであることから、研究は順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

残りの研究期間では、TTR安定化作用を持つ食品機能成分の老化促進マウスへの投与による効果の検証を組織レベルで解析する。脳ではTTR沈着と炎症の関係が明らかとなったが、変形性関節症では明確になっていなことから、その作用機構について検討を続ける。また、TTR安定化作用を持つ食品機能成分が脳や関節以外で有効性を示したが、その作用機構についても不明であるため検討を進める予定である。
短期投与で抗うつ効果を示すものも見出したことから、海馬でのTTR遺伝子発現への影響などについてもさらに検討を進め、TTR安定化作用と遺伝子発現との関係について明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] トランスサイレチン安定化作用を持つカルノシン酸の機能解析2019

    • 著者名/発表者名
      海切 弘子,谷本 暁, 柴田 紗知,味八木 茂,松原 主典
    • 学会等名
      日本農芸化学会2019年度大会

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公開日: 2019-12-27  

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