研究課題
インクレチンは小腸内分泌細胞から分泌されるホルモンで、食欲抑制やインスリンの分泌促進など、個体レベルでは抗メタボリックシンドロームに働く。インクチンの一つGLP-1は血中で速やかに分解されるが、その分解酵素DPP4の阻害剤は、インクレチンシグナリングを増強する効果を持ち、2型糖尿病改善薬として上市されている。これらの事からもこのインクレチンシグナリングの制御がメタボリックシンドロームの鍵となっている事が解る。私は本研究課題で、このインクレチンシグナリングに影響を与える食品分子の探索を行なった。GPR120は長鎖脂肪酸をリガンドとするG蛋白質共役型受容体の一つで、食品中の脂肪酸をセンシングに関わる。昨年度までの研究で、私はゲノム創薬の為に開発されたリンガンド探索方法TGF-sheddingアッセイをGPR120に応用した新しいリガンド探索方法を開発した。この方法を用いて広く新規リガンドの探索を行なった結果、酵母の細胞膜に多く含まれるphytosphingosine (PHS)がGPR120の新規リガンドとなることを明らかにした。本年度は、さらにこのGPR120のリガンド探索を広げ、黒茶(微生物発酵茶)に含まれるTeadenolがGPR120の新規リガンドとなる事を見出した。PHSもTeadenolも微生物発酵により食品内で増加する。これらの研究は発酵食品の新しい機能性を示すものと興味深い。
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