研究課題
血管が直接関係している病気は発症部位によって致死的なものも多く、突然死の主原因として恐れられている。狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などに代表され、我が国の死因の約25%を占めている。特に、血管の異常収縮は、不可逆的な血管痙攣が突発的におこり、血行不良により死に至る。これらの病的シグナル伝達経路の一部が解明されたが、未だ特効薬は開発されていない。我々は、発症後の医薬品による治療では間に合わない場合も多いことから、異常収縮そのものを予防することが不可欠であると考えた。本研究では、病的シグナル伝達の反応の場として、コレステロールやスフィンゴミエリン等が限局的に蓄積した細胞膜ドメイン制御に焦点を当て、食品成分による血管異常収縮の予防メカニズムを解明することを目的とした。これまでに、各種顕微鏡を用いて膜ドメインを直接的に視覚化するため、蛍光顕微鏡を用いて細胞膜ドメインの局在を観察した。マーカータンパク質としてはカベオラはカベオリン、脂質ラフトはフローチリンを用いた。また、透過型電子顕微鏡を用いてカベオラ及び脂質ラフトの測定条件を最適化して観察したところ、カベオラの挙動解析に成功した。さらに、走査型電子顕微鏡を用いて細胞膜ドメインの膜表面構造を観察した。また、センサーチップに生きたままの細胞を固定する条件を確立し、生きた血管平滑筋を用いて分子間相互作用解析をおこなった。本年度は、フローサイトメトリーを用いて食品成分による異常収縮とマイクロドメインの関係性を調べたところ、カベオラが消失しエンドサイトーシスされ、異常収縮の病的反応の場が失われることにより異常収縮を抑制している可能性が示唆された。
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