非アルコール性脂肪肝(NAFLD)は近年その患者数が世界的に増加している肝疾患であり、NAFLDは非アルコール性脂肪肝炎や肝硬変。さらには肝細胞がんへと進行・悪化するリスクがある。本研究では、NAFLDの予防が期待される食品成分などを探索するin vitro評価系を構築することとし、昨年度までに遊離脂肪酸を用いたin vitroモデル系を構築・改良を進めた。 そこで本年度は、ミャンマー生薬粗メタノール抽出物13種についてオレイン酸とパルミチン酸の遊離脂肪酸Mixによる脂肪滴蓄積に対する影響を検討した結果、2種の抽出物が脂肪滴蓄積を抑制することが見出された。より低濃度で脂肪滴蓄積を抑制した1種について、さらに分画した抽出物(ヘキサン、メタノール、酢酸エチル)を用いて検討した結果、ヘキサンと酢酸エチル抽出物で抑制がみられた一方で、メタノール抽出物では抑制されなかった。そこで、酢酸エチル抽出物をCH3Cl3:MeOHを用いて分画した12個のフラクション(Fr.)について検討したところ、Fr.10のアセトン不溶画分で脂肪滴蓄積の抑制が見出された。今後さらに、この画分に含まれる成分を単離・同定する予定である。 並行して新たなin vitro NAFLDモデル系として、フルクトースをHepG2細胞に添加し24時間インキュベートした結果、Oil Red O染色による脂肪滴の蓄積が観察された。そこで、フルクトースによる脂肪滴蓄積を抑制するフィトケミカルを探索した結果、メトキシフラボノイドの一種であるnobiletinが脂肪滴蓄積を抑制することを見出した。さらに、透過性膜上に培養した腸管上皮モデルCaco-2細胞とHepG2細胞との共培養系を用いた結果、nobiletinは腸管上皮を透過し肝細胞におけるフルクトース誘導脂肪滴蓄積を抑制することが示唆された。
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