東京都都在住のPD患者およびコントロール群の質問紙による調査および採取した血清のカフェイン代謝系の解析を液体クロマトグラフィー・マススペクトロスコピー(LC-MS)により行い、既に取得した予備データとの相関を検証する。本研究は4年間を2フェーズに分ける。最初の2年間(29年度、30年度)で新規PD患者グループにおけるカフェイン代謝変化の検証、患者の質問紙による調査を行う。①新規PD患者グループの質問紙による調査 患者像を明らかにするために、質問紙による調査を施行する。調査項目はパーキンソニズムの家族歴、既往歴(頭部外傷、脳脊髄感染症)、発症年齢(罹病期間)、臨床症状(便秘、排尿障害、睡眠障害)、嗜好(喫煙量、飲酒量)、カフェイン含有飲料の摂取量・習慣、内服薬を調べる。カフェイン含有飲料については緑茶・紅茶・コーヒーなどについて、一日当たりの摂取量をそれぞれ調査し、データベース化進めている。②新規PD患者グループのカフェイン代謝系の網羅的解析 約600種の代謝産物の網羅的解析により、上記のカフェイン代謝経路の異常を見出している。同成分について液体クロマトグラフィーを用いて、caffeine等の測定を行っている。以上により関連代謝酵素CYP1A2等の活性が推定されている。③PD患者におけるカフェイン吸収機能の定量的評価 代謝産物の網羅的解析により、カフェイン代謝経路の異常を見出しているが、カフェイン作用の欠落はPD患者血清濃度低下に依る可能性が考えられ、PD患者に対するカフェインの発症予防効果は、脳内レセプター感受性の差異に依らず、腸管からの取り込み低下に依る可能性が高いと考え、同取り込みの低下をPD患者・非患者群にて内服後カフェイン血中濃度変化により証明することを遂行している。
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